1977年12月24日 ロスアンゼルス夜
ロスアンゼルスのダウンタウンからウイルシャー通りを西に向かいサンタモニカの手前を
右に折れると、突き当たりにUCLA(カリフォルニア大学LA校)がある。
そのお膝元にウエストウッドという小さな町がある。
御存じ方も多いと思うし、耳にされた方も多くいるでしょう。
この通りの中ほどに『イエスタデイ』というイングランドパブとカントリー風を
混ぜたようなレストランがあり、そこで学生をはじめ若者たちが大騒ぎをしていた。
友人に連れられて私もその中もに加わったが、決して狭くない店内は百数十人の客でごった返していた。トイレにもたどり着くにも酔っぱらった若者たちをかき分けていくのは大変で、途中途中で
他のお客にお酒を飲ませられながらのトイレの到着でありました。
用を足し、店内に戻ろうとしたところでした。ザワザワとした中に大きな声が響いていました。
『若者諸君、本日は大騒ぎをする日ではない。静かに教会に向かい、イエス様の為に、自分の為
にお祈りをする日である』 とよく通る声である。
声の主を探すとその様相にビックリした。
白いひげをアゴに蓄え、サンタクロースの帽子をかぶり、その姿はそのものでした。
『聞こえたか?みんなわかったな!!』
突然の事に若者たちは当然のように大ブーイング。
『ひっこめ、サンタクロース爺』
『ハッハッハハ~ッ』
大声で笑う姿はサンタクロースそのもの・・。
『冗談だよ。若者たち、時代は変わった、大いに飲み騒ぎイエスをお祝いし、
このめでたい行事を未来へ。アーメン』
と突然豹変・・。
面を食らって、何が起きたのかよく事情が解らない私に友人は
『彼はビバリーヒルズの住人で沢山の学生を面倒みている人だよ』
と囁いてくれた。
『さあ~、今日は私の奢りだ気持ちよく騒ぎ、気持ちよくお酒を飲んで忘れる事のない
クリスマス・イブにしなさい』
『メリー・クリスマス!!』
突然の訪問者に店内は上へ下への大騒ぎ (表現があっているかどうか、解らないが・・。)
それからというものは飲み放題状態が続き、この店の名物ドリンクであった
《フローズン・マルゲリータ》 はそこらじゅう宙を舞っている状態が見受けられました。
それから数時間後、気前の良い紳士の姿はなく、そこの勘定がどうなったかもわからなく
しこたま飲んだ私は店外に出て、友人の車でハリウッドに向かいました。(当時でも違反である)
その夜の事を時々思い出すことがある。そして、同時に当時のアメリカの凄さやその時代に
アメリカで過ごしたことが大事な財産となっています。
最近の若者は海外に出たがらないと聞くとさみしい気がする。一つの場所しか知らなければ、
一つ分の場所の経験しかできない。それもまた人生かもしれないが、他を知った上で、その人生を
選んでほしいと思います。
まだまだ人種差別が残っていたアメリカではあるが沢山の財産を私にくれたような気がする。
そして、今もそのサンタクロースは私に中に存在し、何時でもその時代に誘ってくれます。
それは決して、過去を引きづっている訳ではなく、未来を提示してくれているような気がします。
『メリー・クリスマス』
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