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2026年2月14日土曜日

宝飾業界の危機⁉

  現代の宝飾業の難しさは素材の高騰もありますが、従事者の低レベル化も大きな要因になっているのだと考えます。

 これは能力というより、現代の風潮や社会背景といった、ベースとして宝飾業が必ずしも向かない時代であるということです。高度成長時代からバブルにかけては一般庶民も背伸びをし、上の生活レベルを目指していた時代です。

 つまり、ステイタスというものをある意味、物やライフスタイルに求めており、少しでも良質のものを身に着け、それが高額であってもそこに生活の目標を置いていた時代です。

 その一番のターゲットになったものが欧米の富裕層であり、その生活スタイルでした。多くの人々はその生活スタイルやファッションに魅了され、そこを目指していたと思います。それは昨今の中国の成長の中にも見られました。ブランド品を買い漁り、海外旅行に憧れ、宝飾品を身に着け、それを買うために背伸びをしたり仕事を頑張ったりしていたように思います。

 現代においてはカジュアル化が進み、服装もどちらかというとラフになり、ビジネスにおいても服装のカジュアル化が進み、OLなども服装のTPOをそこまで意識することが無くなりました。

 それは、ブランド品においてもセカンドハンドで良いという風習もあり、ステータスの意味合いも大きく変わってきたといえるのではないかと考えます。以前であれば他人が使用したものを身に着けるということは考えられず、むしろ羞恥なこととしてとらえていました。

 服装が変わると当然、宝飾品もカジュアルな小さ目なものとなりますが、現状小さな宝飾品が地金の高騰や素材の高騰もあり、決して小さな宝飾品に見合った価格ではなくなったということを感じます。それを販売しようと思うとそれなりの技術と知識が必要とされるのです。さらに前述をしたように宝飾業界の従事者自身がカジュアル化し、決して本来の宝飾品を販売するような風情をしていないということです。

 展示会等においてもデザイナーと称して意味不明な服装をしている者もいれば、ネクタイをだらしなく、しない方がマシなような服装をしていたりと、現状でもお買い上げになるのは富裕層ですから、それらの顧客を迎えるに相応しい格好というものがあると考えます。

 しかし、これは現代社会の現象というより、この業界の現象といえるのではないかと考えます。つまり、他の業種であれば、高級レストランであったり、高級ホテルであれば決して前述のような風情で仕事に赴くことはないと思います。身なりもですが所作においてもそれなりの対応をしていると思います。

 冒頭に書いた宝飾品の仕事に携わる人々の低レベル化というものはある程度は仕方ないと思いますが、経営者たちの教育に対する思考がマヒしているとも言えます。

 宝飾品を販売する為の本来の姿に戻らなければ、欧米と違って文化としての宝飾品がない日本においては業界自体の消滅につながることは避けられないかもしれません。勿論、宝飾品が無くなるわけではなりませんからそこに見合った土台が必要だということです。

2026年2月12日木曜日

ラボグロンの長所⁉

  ラボグロンについて宝飾業から見た存在を書いていると否定的になっているように見て取られているようですが、そうではありません。ラボグロンを否定しているわけではなく『工業製品』としての別物であるということを書いているつもりです。

 勿論、必要であるから誕生し、存在しているのであって、その分野は以前天然のダイアモンドが担っていた部分を安価で更なる性能で存在しています。

 現在、宝飾品の代替商品としての側面が多く取り上げられていますが、実際には究極の半導体材料として期待をされているものです。

 耐熱率、伝導率の高いラボグロンはEVの航続距離の延長や5G/6Gの通信の高速化、省エネ化などの革命を起こすといわれています。また、放射能センサーや量子コンピューターのメモリとしての活用や不純物の少ない生体性は人工関節のコーティング等にも応用の可能性があり、他の医療機器にも応用できる可能性は大です。

 真に天然のダイアモンドという天然が故の内包物がある希少性とは相反する素材だといえます。それは宝飾品にありがちな内包物はラボグロンよっては不良品でもあるということになります。さらに、超高出力レーザーや光学機器への使用はどのような環境下においても(例えば宇宙)コスパの良い素材といえるでしょう。

 不良品(言葉は悪いですが)においては宝飾品への転用というカテゴリーもあり、今後その分野が広がることも考えられます。安価ではあるが宝石の条件としての希少性や換金性というものがない『工業製品』ということなので、資産性、投資として考えるのならやはり『天然』ということになります。

 ファッションというジャンルで考えればプラチナや金以外の素材を使ったアクセサリーとしてラボグロンを考えれば汎用性も高まるのではないかと考えられます。

2026年2月9日月曜日

昨今の展示会⁉

  先週末、とある展示会をのぞかせて頂きました。

 展示会の内容がどうのこうのより、展示会の存在意義を感じました。

 多くの百貨店が行ったいることと聞きますが、展示会当日の売上の大半が事前に作られたものを持ち込み展示会の売上としているという実態です。外部から見ていると異様な虚飾にも映ります。

 印象として何より感じるのは展示会というマーケットが既に存在をしていないということです。その要因としては顧客のニーズが百貨店の提供している内容と大きな差異があるということです。勿論、リサーチという一般物流では当たり前のプロセスを一切踏んでいないという内容に多くの参加テナントもメーカーも疑問に思っていないということです。

 大きな組織で動いているために一種の洗脳という状況にあり、当たり前の事と捉えているのだろうと思います。中でも成果を上げている売り場は顧客へのアプローチを含め、知識の豊富さが顧客への安心感や興味を持たせていることが要因だろうと感じました。。

 つまり、百貨店の売り方やキャンペーンに関わらず、独自色を打ち出し、その世界観を創出しています。ハイブランドなどもその例でしょう。しかし、そのハイブランドにも終焉を迎えそうな雰囲気を感じます。本来のブランドというものを販売員が理解をしていないような気がしました。それは、顧客に品物を見せる状況でも感じ、そこに手荒さを感じるからです。

 テナントというものは百貨店のコバンザメと揶揄をされ始めて数十年も経つのだろうか。しかし、多くのメーカーはその状況に危機感を募らせダイレクト市場への探りを続けてきました。それは今はやりのインフルエンサービジネスへの適応や、宝飾展でのエンドユーザーへの直接販売などです。

 それではテナントの今後はというとその寄生主となるサメの最後のエネルギーを如何に利用し、自らの行き先を決めていかなければなりません。メーカーの企画販売などではなく、独自の販売網の確立と独自の製品の確立化に注力をしなければ存在の意味を失います。

 宝石業は本来徒党を組める業種ではありません。それが現在のハイブランドジュエリーの始まりでした。現在のハイブランドに関してもその陰りを感じるのはその基本である独自色を失ってきたからだと感じています。

2026年2月6日金曜日

ダイアモンド価格の仕分け⁉

  ダイアモンドの価格の下落を報じられて半年も経とうとしています。

 昨日旧知の友人達との会食でとある一人から『カズさんダイアモンドの価格が、人造ダイアモンドのせいで下がっていると聞いたよ。』と言われ、一般の人々にもその話題が浸透しているのだと改めて感じました。

 『ダイアモンドの価格が落ちているというのは本当だよ。ただ、それは人工ダイアモンドのせいというよりこの数百年でとてつもない量のダイアモンドが採掘されてきたというのが正解かなあ』と何気なしに流しておきました。何故ならここ数か月同じような質問が多く少しうんざりしているところもあるからです。

 勿論相手が宝飾業に携わっている人であればもう少しきちっと説明もしますが、食事会の席でもあることからの対応でした。

 ダイアモンドは以前であれば全体の価格傾向で話をすることもできましたが、現代では諸事情が重なっていますので、一概には言えません。

 つまり、コロナ以降ダイアモンドの需要が落ちてきたということがあります。出かける機会も減少し、ジュエリーを身に着ける機会が減り、更にファッションのカジュアル化が主な要因だと思っています。

 そこで先ほど出てきたラボグロン(人工ダイアモンド)の問題です。当初はそれほどの影響も出ていませんでしたが、量産可能な工業製品ですから中国での大量生産が始まり、市場に大量に出回ることになります。

 天然のダイアモンドの需要が減り、研磨量の少なくなってきたインドの研磨業はラボグロンへのシフトを組むことになります。中国産の研磨はもとよりインド産まで研磨作業に入り、当然価格は下がります。現在研磨原価で1ctサイズで40ドルから50ドルまで価格は当然下がりました。

 さて、天然のダイアモンドですが、現況を考慮し、数年前から減産及び、閉山を含めて採掘会社も対応をしてまいりましたが、市場在庫の量は想像以上の為価格の下落を招いております。

 しかし、採掘をしないということは希少石である大粒サイズやカラーダイアモンドも採掘をされないということですから、この辺は逆にさらに希少になってきます。

 つまり、減産、閉山による影響はダイアモンドの価格細分化へと移っていきました。

 大粒及びファンシーカラー、ファンシーシェイプ用の原石はもともとラウンドの物より数量も少なく、ラウンド小粒(研磨済み1ct以下)が主流であるときには全体の需要に対しての問題はありませんでしたが、現状になってくるとその存在が際立ってきます。

 現在は大粒のダイアモンドは勿論の事、ファンシーカラーや長めのファンシーシェイプのダイアモンドは需要に対して供給もなく価格が上昇傾向にあります。

 需要に対しての価格上昇は何もダイアモンドの限ったことではありませんが、現状は極端に供給の少ないものに対しての需要が多く、そのカテゴリごとの価格が上昇をしています。

 一つの要因として現状はおおかた富裕層用しか需要はありません。しかし、それらの供給はさらに少なく、それらのカテゴリーおいては決して価格の下落が起きているとは言えません。つまり、簡単に言うと需給の比率の問題です。

 更に、1ctサイズであったとしてもピケといわれる多少内包物が多いものであっても裸眼できれいなものは需要があり、やはり価格は上昇を始めています。しかし、明らかにグレード表記良質で価格が高いものについては価格が減少をしています。

 昨今の地金の高騰を見ていても貨幣の価値が損なわれ始め、現物資産に目が行き始めた時代です。ダイアモンドの価格が今後どのようになるのかは一概に結論は出せませんが、ダイアモンドが換金性の高い資産であることは言うまでもありません。



2026年1月29日木曜日

ダイアモンドの価格⁉

  先週よりイスラエルに出張し、本日戻りということとなり、新鮮なうちにということでデスクに向き合っています。

 何が新鮮かということですが、買い付けに当たり価格の変動というより硬化です。つまり、以前と比べて、価格での交渉の余地の小ささです。

 ラフ(原石)の取引所の人出の少なさもさることながら、研磨済み取引所の人々の少なさもあり、結果的には旧知の事務所を渡り歩くこととなりました。

 結論をいうと絶対的流通量の少なさと、カラーダイアモンドへの偏りがちな取引所となってきたといってもよいのでしょう。30~40年ほど前という古すぎて恐縮な例ではありますが、コマーシャルなアイテムもそうですが、大粒もふんだんに取り扱われていた印象があり、実際にもそうでした。

 そして、カラーダイアモンドという小さな市場に目を向けている業者は非常に少なく決してメインのアイテムとはいいがたい状況で価格もむしろこちらのほうが誘導しているような状況でもありました。

 つまり、鉱山などの閉山や採掘業者の減産といった中で、ラボグロン(ここにダイアモンドをつけることは業者間では認めません)の市場の拡大といった中で1ct以下のサイズの物の値下がりも後押しし、更にイスラエルで言えば研磨の大半がインドへ移行をしているということもあり、取引所での絶対量が減ったといえるのです。それ故の余地のなさとも言えます。

 そんな中、大粒とファンシーカラーで商いを行う業者が増えてくることは必然と解釈しますが、そんな中鉱山の減産、閉山ということが重なり、一般的なものと同時に大粒やカラーダイアモンドも採掘量が減るわけですから、もともと希少性の高い分野のものはより一層希少性を増すわけです。

 多くのイスラエルの業者が工夫を模索する中、自らジュエリーの生産に向かうものや販売のスタイルを変化させるものが多くなってきた印象もあります。

 それ故に、彼らも交渉を受けたくても受けにくい状況にあるわけです。といっても当方も事情がありますから見合った価格への交渉が必要になるわけです。

 今回の買付の難しさはそんなところにありました。この状況の反映は早ければ半年後、一年後、2年後には日本の宝飾業界にも表れてくるのでしょう。

 しかし、その後の工夫がなければ業界そのものから退場を余儀なくされるのです。

 一般的なメディアではダイアモンドの値下がりが報道されており、その大きな要因にラボグロンなども取り上げられています。確かにその部分は事実です。しかし、いつものように深堀が出来ていません。それは過去何百年と採掘をされているものですから、市場の大量在庫ということもあり、そこにラボグロンの件があることも事実です。

 しかし本来の宝石質で資産性の高いものということになれば、別のストーリーが出来上がってくるのです。今後もしばらくの間は混とんとするのでしょう。

2026年1月20日火曜日

宝石ですか?工業製品ですか?

  ラボグロンダイアモンドについて数回触れてきましたが、天然ダイアモンドとラボグロンは何が違うのかという質問がありました。

 古来から宝石の条件として美観性、希少性、耐久性、携帯性そして換金性というのが本来謳われてきたもので、近代においてはそれがより明確になってきていました。しかし、一部の業者により何から何まで販売を前提とした宝石という言葉の乱用もあり、その線が市場では怪しいものになってきましたが、世界的には前述の条件を前提に価値を踏襲されてきたものです。

 まずは、ダイアモンドというネーミング自体が天然と宝石を前提としています。

 前述の条件を前提とすると希少性、換金性のないラボグロンは宝石ではありません。しかるに、あえて炭素の結晶構造を持った人工物はラボグロンと称し、ダイアモンドとは呼称しにくいのもプロの人々から言うと至極当然なのかなとも思います。

 婚約指輪のシェアの中で米国では40%のシェアを持つようになったと報道が行っていましたが、これは少し大げさではと考えます。確かに以前から比べるとシェアは大きくなってきていますが、渡米をしていても実感としてはそれほどの店舗が扱っているわけではありませんので、ネット販売における、婚約指輪のシェアといえば納得をする内容です。

 米国ではブルーナイルの歴史にあるようにネットで婚約指輪を手配する男性も多く、米国社会ならではの現象かと思います。

 ラボグロンはサスティナブルであるとか価格が手ごろであるとか、天然のネガティブキャンペーン的な販売も行っていますが、実際にはラボグロンも製造過程では高電圧の電気を消費します。さらに、本来同じ土俵の上っているものではありません。

 婚約指輪に宝石を選びますか?

 工業製品を選びますか?

ということで、そのどのチョイスをする男性を人生のパートナーと考えますか?ということです。


 

2026年1月16日金曜日

ラボグロンダイアモンドとは何ぞや⁉(2)

 さて、中国で大量生産が始まるようになるとあらゆる現象と影響が出てきました。

 次回へ

前述部分までが前回の最終部分でしたが、その続きです。

 中国で大量のラボグロンの生産が始まり、その研磨は多くの天然ダイアモンドが研磨されているインドでの研磨となったのです。

 日本の一部企業も乗っかりマーケティングが始まり、皆さんの知るところと訳ですが、その際には謳い文句としてSDG’sを掲げ、天然ダイアモンドは自然破壊に繋がるなどと謳っておりました。しかし、その時期においても天然ダイアモンドの半額とか4割などと価格に関しての遡及を行っていました。

 以前、ラボグロンはいずれキュービックジルコニアの二の舞になると書いたことがあります。天然ダイアモンドの研磨のし過ぎで研磨の作業が無くなっていたインド研磨企業は当初中国などからラボグロンの研磨を請け負っていましたが、さらなる仕事を確保するためにラボグロンの製造機そのものを導入し、ラボグロンの研磨にまい進するようになりました。

 そのころになるとデ・ビアスなどは同じようにラボグロンのためのブランド(Light boX)を立ち上げ、いち早くラボグロンの安売りを始めます。つまり、天然を守るためにラボグロンつぶしを始めたわけです。

 しかし、現実にはインドので大量生産と大量研磨はあっという間にデ・ビアスの手を汚さずとも価格の崩壊が始まります。現在では天然ダイアモンド価格の指標であるラパポートレポート上では天然ダイアモンドの価格の3%がラボグロンの市場価格とされています。

 今回の日本での国際宝飾展などではラボグロンは天然の10分の1といったようなコメントが出されていましたが、実際にはそれ以下の価格となるのです。そうなるとデザインであったり、造りであったり、ブランディングで売るといった本来の売り方にならざるを得なくなるわけです。

 基本的なことはブライダルであったり、ジュエリーとして自らを飾るときに天然なのか、人工なのかということになるのです。これはまさに人々の価値観であり、豊かさによるものだと思います。

 自分の婚約者から受け取るダイアモンドの指輪が天然なのか人工なのか?

 工業製品を贈るのか?天然の恵みを贈るのか? 

 更に現在行われている国際宝飾展なるものを見ていてもリサイクルジュエリーであったり、アクセサリーであったり、ラボグロンのコーナーがあったり、展示会そのものが既にまがいであるような気がするのは私だけでしょうか?

 忘れないでください。これらのビジネスは天然の宝石が存在し、その華麗なビジネスが存在して初めて、成り立っているのです。