昨今の宝石業というものの難しさは材料費の高騰もさることながら、市場の縮小と文化の変異だろうと思います。
つまり、販売方法がアップグレードされていなければ販売そのものが苦難という事です。
例として、現在の平均価格はまともな価格で考えれば小売で200万円相当になると思います。原材料の金をベースに5g使用の宝飾品であれば宝石抜きであっても40万~50万円になると思いますが、そこに宝石を施すとすぐに100万円越えになり、それでも、それは最もシンプルなものになります。
しかし、現実には宝飾品に慣れ親しみ、購入を考える方達はやはり個性的なそれなりのものをお望みになります。そうなるとやはり200万円前後の価格帯が富裕層が好み、購入する事となるです。
過去高額品としてなじんでいた価格帯は現在は平均価格帯の層になるという事になります。ファッションリング的なものは100万円以下で展開が可能かもしれませんが、今購入力のある富裕層は決してファッションリング的なものを望むとは思えません。
今までに100万円相当が限度としていた販売員はその知識と技術を上げるか、販売店自体のレベルを上げる必要性があるわけです。
以前にも書きましたが、飛行機のファーストクラスに乗る人はなぜに高額な価格を出してまでそのクラスに乗るのかという事です。移動を快適にしたいという事もありますが、そこに乗る自らのステータスに対する満足感やプライオリティーがあるのです。
それは乗務員の質の高さや提供されるサービスや食事の選択などがあり、乗客が如何にも特別扱いをされているかを実感するような人選と教育がされているのです。
それでは日本の一部の宝飾店と百貨店を除き、果たして一般的な宝飾店や百貨店はその接客が出来ているのだろうか?
過去、バブル期の終焉を迎え、現在に至るまで多くの宝飾業者は価格競争に励み、更に高値からの値引き販売をし、本来得ることのできる利益を放棄してきました。単純に言えば顧客に納得をした高額を支払ってもらう接客やサービスを行ってきたのかという事です。
殆どの場合自己満足な顧客サービスと保身を前提とした企画に終止をしていたのではないのだろうか?と感じているのです。
高度成長期やバブル期は見よう見まねで西欧風な接客と共に、老舗の料亭かと思わんばかりの接客をしていました。それ故に顧客層も満足をし、高額を支払い、納得をしていました。決して販売員たちが理解をしていたわけではなく、真似事であったかもしれません。
しかし、結果的には顧客の納得のいくような接客をしていたことになったのです。当時の販売員はそれが当たり前だと思っていたと同時に値引きをする発想がありませんから、精いっぱいの努力をし、それが身についていたのです。その頃は販売員もレベル訳が行われ、メーカーから表彰をされて、特別扱いを受けていたので、顧客の気持ちを理解していたのだと思います。