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2014年8月9日土曜日

展示会の変貌⁉

 最近、何か所かの展示会を回る機会があり、その変貌には少し戸惑いました。というのは本来の展示会場の基本のレイアウトとは似つかわしくないものが多くなっているなぁ・・という実感です。

 “どうせん”には動線と導線の2種類があり、動きやすくするためにはともに同じ意味なのですが展示会や小売店等では買い物機会が増す左周り、つまり時計の逆回りに導線を造ることが買い上げ率を上げることにつながるという事になるのです。

 人は一般的に時計回りは動きやすくスムースに歩きますが、その逆は動作的に鈍くなると言われていますので展示しているものをゆっくり見ることになるのです。それゆえ売りたい物をさらにコーナーに置くことにより注目機会が増える訳です。

 最近の展示会事情はそこまで綿密にやらなくても良いと考えているのか、そこまでの専門家がそれぞれの主催者側にいないのか宝飾展示会の創生期に携わっていた者には少し違和感を感じる次第です。

 また接客に関してもお客様を来場時は挨拶以外では流して自由にご覧にいれさせる、その上で興味のあるものをご自分で手にするものに対して注目をし、お客様を煩わせないようにしながらアプローチをするというものが基本でしたが、それも少し様相が変わってきたように思います。

 さらに不思議なのが販売員がお客様にくっつきながらトレーにいくつもの商品のせ、くっついて歩くというもので、以前であれば先輩からのカミナリものであった様子です。複数の商品を乗せすぎることにより販売時間も長くなり、お客様にしてもお勧め商品がどれなのかを迷いますし、なにより商品が汚く見えます。

 何よりも展示会場に優雅さもなく、本来であれば非日常を感じる場所がスーパーマーケットのような様子さえ見られます。お客様は本当に満足をしているのでしょうか?

 感想からすると販売側に自信がないという印象を持った次第です。つまり、宝飾の展示会なのにゆったりと構えてはいないという事です。

 もちろんすべての展示会がそうだとは言いません。展示会の創生会社でもあるH社はやはりその辺にそつはなく販売目的の物に至るまでに期待を持たせるようなアプローチが会場にあり、お客様が優雅に販売員との距離を気にすることもなく、ゆっくりと宝飾品を見ておりました。

 実際に聞くと多くの販売員はお客様をほっとくのは失礼だというのですが本当にそうでしょうか?
自分の立場になって物を買う時の事を考えてみたらどうでしょう。

 ピッタリとくっつかれ、商品を沢山持ち、どれそれ構わず勧められ挙句の果てに『沢山値引きをしますから買ってください。』と言われ、その商品に魅力を感じて購入できるものでしょうか。

 傍から見ているととても商品を勧めているようには見えないばかりか、お客様を追い詰めているようにさえ見えます。自分の立場になって考えると分かりやすいかもしれません。
 

 また、商談中にお茶やケーキをお出ししている意味も理解が出来ていないようにも見えます。単なる『オモテナシ』ではないのです。人間は心理的に物を口に入れ飲み込むことにより、イエスという答えを心理的に出しやすいことを利用したものなのですが、そのタイミングもうまく利用されていないようにも思います。

 また、会場の温度はとても大事で温度が高いと、人は攻撃的になり物を勧められることを望まないので、会場の温度には特に夏の時期は気を付けなければなりません。勿論寒いからと言って購入動機が増すということではなく、適温を保つという意味で温度管理は徹底して行うべきなのです。

 以前(現在ではない)のH社では、来場人数を把握の上会場側に設定温度をリクエストしていたことを覚えていますが、担当者が1時間おきに室温を調整し、来場人数に合わせて温度調整をしておりました。

 もちろん今は今の事情があるのでしょうが、時代に関係なく人の心理的な購入意欲は変わりません。形ではなく展示会場で行われていることに関してはチャンとした理由があります。

 それゆえ、形だけの展示会の様子を見ていると消費者に対するリスペクトが掛けているようにも思いますし、巧みな販売手法も生かされていないように思います。

 また、ある程度の誇張は販売の上で必要なことではあると思いますが、嘘や告げるべきことを告げないという販売は後でのしっぺ返しが必ず来ます。

 『お客様は神様です』
懐かしいフレーズですが、思い出してみませんか。神様はお見通しです。

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