ページビューの合計

2014年8月31日日曜日

世界の道はローマに通ず!!

 ローマという所は面白いところで町中が土産物屋といっても過言ではないと思います。レストランにしても観光客が相手ですからグルメの方は敬遠をする方も多くいます。

 イタリアンを食べたくてレストランに入ったら中国人がやっていたということもざらではありません。
その他にもインド人だったり中東系の人種だったりと感心するほどの多種に渡る人種がうごめいています。

 私自身も一人で食事をすることが多いのでなるべく高級そうではあるけれどチャンとしたリストランテに入るように心がけています。結果的には安かったということになるのは経験上理解しているつもりです。

 買い物にしても町中が単純な土産物屋からブランドを扱ったお店まで色々ですから十分に気をつけなければなりません。たとえ30%~50%OFFと書いていても、付いている値段がすでに安くなった値段だとか、買う事を決めてから言われるケースもありますし、しぶしぶと買っている観光客もたまに見ます。

 その他に引いてもらった価格がキチンとした店と比べると元の値段が高かったとか、観光客のその場狙いのような売り方も多く見受けられます。

 それではどうしたら良いかというと、私のケースはRinascenteという百貨店に行き、価格を見ます。この百貨店はご存知の方も多いと思いますが、日本でいう三越か高島屋といったところでしょう。イタリアの大きな町には存在していますが、オリジナルからブランド品まで多く取り揃えているのでとても便利です。

 ここのメンバーになると10%OFFという特典があり、店員さんがアドバイスをしてくれますが、入会は簡単で名前と住所、生年月日等にメールアドレスを書いてメンバー用のNOをもらうだけです。
勿論その他にも150ユーロを超えているとさらに10%のタックス・リファンドを空港で受けるように手続きをすることを薦めてくれます。

 今回、私はさるブランドのバッグを買い求めたのですが、結局、他のお店と比べると安く求めた事になり、何時もの事とはいえ、安堵の気持ちと、やはりここが一番で毎回買い物をさせてもらっています。その後他のお店も覗いてみたのですがほぼ倍近くの価格がついていました。

 ただ、殆どのお店の店員は明るく口も立つのでついつい買ってしまう方も多いようですが、後で腹を立てたり、ガッカリしている方も少なくないようです。多分二度とは同じくり返しはしないでしょうがそんなに何回も行くものでもないので、旅が良い思い出にならないこともあるでしょうね。

 ユダヤ人の成功している事業家(特に80歳から90歳の方ですが)は子供の頃から苦労をして、食べるために頑張って若いころには営業ではいつもトップだったという話をします。その続きとしてよく聞く話ですが口八丁手八丁(日本語だとこういう表現)で売れるなら何でも売っていた。しかし、その事によりお客を失うという経験をして商売というものを勉強したといいます。

 私は仕事柄ユダヤ人の友人が多く、その父親や祖父たちから良く聞いた話です。しかし、多くのユダヤ人の話や成功をした起業家の話を本で読んでも何故か似たような話を聞きます。つまり、誇張やウソをついて売り上げを上げていて、その後御客さん達にしっぺ返しを受けて、はじめて商売というものを学んだということです。

 その後はそれを肝に銘じて励んだことが今の成功につながっているということです。そういえばローマの御土産屋は良く入れ替わります。観光客の口コミもあるでしょうし、今ではインターネットもありますのでしっぺ返しは早いのかもしれません。

 それにしても世界中から色々な人種が集まってくるものです。一時で稼ごうということなのかもしれませんが、なかなかうまくはいっていないようです。結局は自分の儲けの為だけにする仕事はいつか付けが回ってくることをユダヤ人の富豪家たちは言っているのでしょう。

 肝に銘じなければいけない人も多くいるかもしれません。成功の秘訣はお客様が価値を感じる仕事をすることです。ましてや騙されたと思わせない事と感謝される事が大事です。

 それにしても世界の道(人種、商売)はローマに通じているんですね。
 

2014年8月30日土曜日

ホワイトかイエローか?

 ヨーロッパに来ていつも思うことは日本人ほど一般の人はジュエリーを身に着けてはいないということです。もちろん安全上の問題もあるのでしょうけれど・・・。

 無論、避暑地に行ったりそれなりの町並みの所へ行けば別ですが、一般的には日本人ほどの頻度でジュエリーをしている人を見ることはないでしょう。

 富裕層の人たちを見ていて思うことは18金イエローゴールドがほとんどでホワイトを見ることはほとんどありません。ホワイトのジュエリーはほとんどがロイヤルジュエリーですから当然といっては当然かもしれません。後はティーンエイジャーがするシルバーの華奢なものがほとんどです。

 日本人もかつてはイエローゴールドが多かったのですが、高度成長に合わせるように海外のいわゆるハイジュエリーに似せてきたのでしょう。その際はプラチナが殆どでしたが、プラチナが高騰してくると業界の都合に合わせるように18金のホワイトジュエリーが増えてきました。

 当初、ホワイトゴールドのジュエリーを投入したときには業界からは消費者の誤解を生むので好ましくないと批判されたことを覚えています。しかし、地金が高騰すると今までのことがなかった様に皆がホワイトを作るようになりました。まっ、いつものことですが・・・。

 やはり、ミラノのモンテナポレオーネやパリのバンドーム広場でイエローゴールドの華やかなジュエリーをしている人を見ると、上級者な感じがしますし、いかにも華やかな富裕層というのを感じられます。

 日本ではいまだに細くてもプラチナとかホワイトゴールドを好む人が多くいますが、本来の日本人には華やかな欧州人と違いますが余計にホワイトジュエリーが会わないような気がします。現実に最近ではジュエリーの上級者を見るとイエローゴールドを好む傾向がありますし、やはり日本人にはイエローゴールドが似合うように感じます。

 勿論、好みもありますし、大きな材料やダイヤモンドの大きく使用をしたものはそれなりに見栄えもしますが、やはり普段という感じはしません。不思議なことにドイツ人も一般的ではありませんがホワイトのジュエリーを好む部分があります。国民性もあるのでしょう。

 しかし、身に着けていても他人が見ていても、華やかな感じがするのはイエローゴールドだと思いますし、温かい感じもするので夏冬問わずに身に付けやすいのではと感じます。無論、価値観ですから婚約指輪やアニバーサリーリングにホワイトをお勧めすることもあるので、TPOによるとは思います。

 ただ、10金や7金にしてまでイエローにこだわることはないと思います。むしろ貧乏くさい感じさえしますから本当によいものを一つでも良いのでお持ちになることをお勧めします。

 いずれにしてもヨーロッパでも格差の違いを感じさせられます。観光地では日本人に良くあるような芋の子を洗う状態で庶民がフェリーやバス乗り場にひしめいていますが、その横ではクルーザーやヨット、その上で高級車を駆って颯爽としている金持ちを見かけます。

 日本人はまだまだ格差が少ないのでしょう、現実にジュエリーを購入していただける人々がまだまだいらっしゃいます。この方たちには半端なものではなく本当のジュエリーをお勧めすることが業界の発展にもなるのではないでしょうか。

 ホワイトかイエローかは価値観もありますでのなんともいえませんが華やかで温かいのはイエローであることは間違いがないと思いますがいかがでしょうか?
 

イタリアの宝石!?

 イスラエルに向かう途中、イスラエルへの様子見もあってローマに立ち寄り、今日はその一日を利用にナポリの南に位置するアマルフィに出かけてみました。

 イタリアの宝石とも呼ばれ、ユネスコ遺産になったほどの歴史のある街で、美しい海岸線にあるこの町は人口5千人ほどのの大きさですが、1000年以上目には海洋強国として名を馳せ、文化の中心にもなった国でした。

 以前から日本の映画の舞台になったり、TVでも特集をされるほどの美しい町であることは知っていましたが、ぜひ一度は未定みたいと思っていましたのでローマからは4時間ほどかかりますが思い切って行ってみました。

 確かに狭い海岸線にあり、港からいきなり切り立った町ですから、よくこんなところに町を創ったなあと感心させられるとともに、同じ海洋国家でありながらに日本とは海岸線や土地の考え方に違いがあることを感じさせられました。

 日本では海岸線の広い平地にに町を作り、大きく発展をしてきましたが、イタリアの場合は海岸線の狭小のところかまわず散らして、町があり、その代わりといっては何ですが飛行機から眺めてもそこら中の山や平地が畑や牧場になっています。日本ではそれからみると使えそうなところはほとんどがゴルフ場ではないかと思ってしまいます。

 もちろんお国柄もあり、いい加減なところはいい加減で、ローマからサレーノという所へ列車で行きバスであまるフィーに向かおうとしたのですが、バス停はひとつしかないところに路線バスが十も二十も来るし、挙句の果てに待っていたアマルフィー行きは一時間遅れても来ない始末です。

 一緒に待っていた二人のイタリア人女性と話をすることになり、一緒に待とうとなったのですが、私は待ちきれずにフェリーで行くことにし、すぐに港に出て彼女らとはさよならをし、一人でアマルフィに向かいました。正解だったと思ったのはちょうど私が帰るころに彼女らがちょうど到着し、再度挨拶をしてから別れ、私はローマに帰るために再度フェリーでサレ-ノの向かいました。

 彼女たちは週末をあ丸フィーで過ごすのでのんびりとしていたのでしょう。私もあまり長い時間は滞在ができなかったのですが、観光客が多かったのといろいろなところへ言っているせいか、自身でもびっくりするほど驚きませんでした。

 改めて思いました。本物の宝石も、旧跡も人間が手を入れすぎるとろくなことにはならないなあという感想を持った一日でした。


 

2014年8月26日火曜日

2014ダイヤモンドの値動き⁉

 大粒のダイヤモンドを中心に値上がりが顕著であると伝えてきましたが、どこからを大粒とするかという事には意見が色々とあるでしょう。

 ダイヤモンドのビジネスが次世代に入りつつあることは毎回触れてきていますが、価格の動きを通してみると1ctサイズのものは今年に入ってからは値を下げています。反面0.5ctサイズに関しては値上がりが続いております。

 これはふらつの動きがあると考えられます。一つは中国等の経済に関するもの、これは以前であれば金持ちはとてつもなく大きなものを買っていましたが少数でした。しかし、現在では大衆の中にも0.5ct程度であれば購入できる人が増えてきたと言えるでしょう。

 一方1ctのサイズに関しては現在では半端な大きさと言えるのでしょう。前述の購入層には高すぎるし、一方の金持ちに関しては小さすぎるという事になります。つまりステータスの存在とはなっていない状況にありますので人気もなく、価格も弱くなるのでしょう。

 また、3cts位のものに関しては値動きは止まっているといってよいでしょう。しかしながら5ctsアップという事になると市場を動かすほどの量がないといえます。勿論品質にもよるのですが、良質なものを前提とすると価格変動を起こすほどの量が市場には出回っていないという事になります。

 総合的に考えると1ct以下のものは経済状況により変動があり現在はその状況下にあります。つまり小粒なダイヤモンドの動きは経済に著しく左右されると言ってよいでしょう。

 また大粒のダイヤモンドに関しては従来のジュエリーの延長として考えるととてつもなく高いものとして感じてしまいますが、不動産や特殊な車のように資産として考えると価格に対しての感覚が少し変わってくるのではと考えますし、海外ではすべてとは言いませんが多くの場合はそのように考えられています。

 また、今後に関しては金融経済次第だとは思いますが、お金の逃げ先としての対象となっていますので、地金と同様の動きをする可能性が大きいと考えます。勿論大粒のダイヤモンドに関してですが・・・・。
 

2014年8月25日月曜日

国際会議の中止⁉

 昨夜、連絡があり9月1日からイスラエルで行われる予定であったDiamond  international weekly
が中止になったとの事。過去の記憶にもあまり中止になった記憶はないので現状のイスラエルの状況はあまりよくないのかなと考えています。

 この会議ではいつも今後のダイヤモンドビジネスの方向性だったり、現在の動きそのものの報告だったりと、ダイヤモンドのビジネスをやっていく上では情報の集まりやすい場所でもありました。

 特に今回は徐々に色濃くなってきたダイヤモンドの投資について多くふれるようだったので非常に興味を持って参加をする予定であった分だけ残念です。

 自身は予定通りイスラエルには入るつもりですが、前回同様各航空会社の運航がキャンセルになるとどうにもなりません。

 会議自体は中止になったとしても取引所へ行くことにより様々な情報が得られる事には違いがありません。日本の場合は何時も海外とは違う動きになることが多いので海外の情報からいつも隔離されている事が多いのですが今後はそうも行かないのではと考えています。

 過去、4Cグレードが持ち込まれ、当用漢字を読める人であればダイヤモンドを説明できるように単純にしようと持ち込んだシステムでは思わぬ方向に行ったように、本来の役割とは違う使い方をされてしまった過ちを二度としないようにしなければなりません。

 本来は過ちであることが簡単であったために多勢になることによりそれが当たり前の常識のように取られたことが今の宝飾業界が怪しげなものに見られる原因にもなっています。それゆえに海外からの情報共有やもっと知識を広める為にも、もっと国際会議への参加や世界の情報を手に入れることが必要だと考えます。

 化粧品を販売する人は化粧品の事を勉強し、薬屋さんは薬の事を勉強します。しかし、宝飾業界は4Cグレードがあったためにあまり勉強をしなくてもなんとかやっていけるような気がした人が多く参加をしています。

 お客さんは勿論相手がプロだとは思っていますがあまりにもあいまいな返答を繰り返す販売員に対しては何か納得のいかないような物を感じ、完全に信用をできない事から宝飾業界を怪しく思っているような気もします。

 勿論、多くの勉強をしている人もいますが、他業種からの流入してきた人たちの勢いは安易な分だけありますので、ホストみたいのとかタレントみたいのまでがまかり通ってしまった事実もあります。それらの人がいかにもプロのような立ち姿でいるのも元々は4Cを当用漢字が読める程度の人で大体が済んでしまうようにしてしまったからでしょう。

 しかし、本来は価格の説明をするあくまでも目安であることを、それが全てであるように感違いをしてしまったのでしょう。それが蔓延をし、当用漢字がわかる程度ではいけなかったことを反省しなければいけないと思っています。当時はプロしかいなかったのでそれでよかったのです。

 今後ダイヤモンド業界は新たな時代に入ろうとしています(投資を含め)。頭に有った常識的な値段もあくまでもジュエリーとしてでしたが、今後は頭を切り替えてある大きさからは違う感覚で対応しなければならなくなってくるでしょう。(それがどうなるかはまだ解りませんが)

 今回の国際会議の中止はダイヤモンド業界においては結構大きな出来事になるかもしれません。HPHT処理問題や投資のダイヤモンドの扱いがまだはっきりとは見えていなのですから・・。


 

2014年8月23日土曜日

花火大会⁉

 本日は玉川の花火大会という事で久々の雨が降るのではないかとソワソワしています。お客様を招待しての花火大会という事でちょっとした飲み物とスナックを用意しての事です。

 お店があることの意味を最近になってつくづくと感じるのですが、お店とは商品を売買するだけの場所ではなくて、人との出会いや自身のアイデンティティーだったりする訳で、川上でビジネスをしていたころには感じなかったある種の喜びを感じています。

 最近は展示会ばやりである宝飾業界もお店が基本である事には変わりがないのですが、それを見失っているようにも見えることがあります。多くの人を集客したり、展示会を開けるのもすべてがお店の存在があってのことだと感じます。

 当店がオープンして8年になりますが、振り返ると多くの出会いや物語があったなあ~・・と感じる訳です。このブログでも何度か紹介をしておりますが、勉強させられる事、感動させられる事、そして、喜びをお客様とともに感じる事と多くの事がありました。

 大昔には物の売買にはお店があったわけではなく売り歩いたり、届けたりという商売がほとんどであったと思いますが、お店が出来てからのお客の志向はものすごく変わったのではないかと感じます。つまり、本質的なものだけではなくお店の趣向に対して関心を持ったり、サービスや接客というものに対して好みが出たりとお店が存在する意味は文化の上でも大きな変化だったのではと考えます。

 最近はインターネットや通販の商売が多くなり、ビジネスの本質的なもの、つまり物が移動すれば良いという、場合によっては売り買いが終わったらそこで終わりという兆候が多くみられます。ですから展示会でありながら、ネット商売のように売ってしまったらOKみたいな様にも見えることもあります。

 お店はその場で終わる訳ではありませんから、色々な意味を持つわけです。勿論、アフターケアや保証といったものもあるのでしょうけれど、最近感じることはお店自体が何かの文化の入り口であり、これからを予感させる立場でなくてはいけない様な気がします。

 最近はお店の役割をないがしろにしているところが多いような気がします。安売りをしていればお店の役割を果たすわけではないし、安く買いたいのであればネットでも通販でも物はあります。

 お店というのは可能性というものを追い求めるところであり、その役割を降りようとすれば簡単なことですが、常に何かの形で可能性が運び込まれる場所のような気がします。

 本日ご招待するお客様たちは1年前までは知らなかった方達ですが、今では商売以外でも接する機会を頂いております。そして、その方達の世界や社会人間関係を垣間見ることはお店をやっていなかったら知る事もなかったのかもしれません。

 お店で知り合った方達で食事をしたり、場合によってはビジネスになったりと、敢えて言えば人間社会の交差点みたいな場所がお店なのでしょう。

 ネットや通販にない心の温かみや、歓びがあるのがお店なのではないでしょうか。すべてのスタートはお店から始まったことを考えると有難さや人と会える歓びを感じるとともに、特に扱っているダイヤモンドに関していうと、出合う事がなかったかもしれない人々と合わせてもらったような気がします。

 お店は人間という糸を紡いでくれるハタ織り機みたいなもののような気がします。改めて本来のお店の役割を感じる今晩の花火大会です。

 晴れたらいいなあ~。

2014年8月22日金曜日

うれしい事⁉

 昨日、ご来店を頂いたお客様が
『昨夜、12時ですよ。妹から電話があり、「これからちょっと寄ってもいい?」っていうんですよ』
という事から始まり、お話の内容は
その後妹さんが訪問され、近くのいたのでちょっとお寄りになったとの事でした。

 『何しに来たと思いますか?』
と尋ねられ

『近くのついでではなかったんですか?』
と当方が言うと

『そうではなくて手を見るときらりと光るダイヤモンドの指輪をしているじゃあないですか。訊くと髙木さんのところから頂いた2カラットだというじゃないですか。それを見せに来たんじゃあないとは言ううですけど、明らかにそうなんですよね』

とお話が続き、
『以前もある宝石店さんを紹介して、気に入らなくしばらく不愉快は顔をしていたんですけど、今回もたまたま髙木さんのところを紹介していてどうなるか心配だったんですけど、デザインもダイヤモンドも物凄く気に入っているみたいで、その件でお礼に来たんですよ』
との事でした。

 やはり、このようなコメントが一番うれしいことですし、時々聞くことがあるのですがジュエリーを作ったんだけれどあまり気に入ってはいないとか、やり直してもらうにもお店から『良い出来だと思いますよ』と言われると言いにくいなどよく聞く言葉です。

 本来は、オリジナルで作る以上は絶対に気に入ったものでなくてはいけないし、そうなるようにお店も努力をしなければいけません。当方では時間が掛かることになっても途中で確認をしていただき、洋服でいえば仮縫いのようなこともやりますのでほとんどが気に入って頂いていると思います。

 場合によっては三か月ほどかかることも珍しくはありません。多くの宝石店さんは加工を下請けさんやメーカーさんに出し、更にそこから職人さんに渡りますので。何回も行ったり来たりすることは望みませんし、もし違った場合のリスクも背をわなければなりません。

 それゆえ多くの宝石店さんは加工を望まないこともありますし。職人さんが直接やっているようなお店でも、やはり宝石に関してはプロとは言えませんから、石合わせに難があったりすると造りで無理に合わせたりすることがあります。

 当方は石合わせをはじめ(ダイヤは専門ですから)ベース以外のところは極力自社で行っています。それゆえに他店さんよりもお褒めていただくことがあるのかなとも思います。

 
 おかげ様でほとんどのお客様にはご満足を頂いているようなのでジュエラー冥利に尽きます。しかし、基本は自身がデザインし創ることが好きだという事があるのでしょうし、スタッフも優秀な腕を持っている事が幸いだと思っています。

 これからも自身も含め、皆が『うれしい事』を追求したいと思っています。
 

2014年8月21日木曜日

セミナーを終えて⁉

  昨日は暑い中、多くの方にお集まりいただき、セミナーを行わせていただきました。業界の方達で経験の豊富な方から、まだ日の浅い方達まで色々な方達でした。

 内容で皆さんの気を引いたものは、やはりダイヤモンドのタイプの問題とHPHT処理についての事で、質問の多くもそれらの事でしたが、それ以外にグレード問題の質問が多くありました。

 皆さんの認識の中には4Cのグレード表示が単なる目安であるという認識が少なかったようです。
目安とは絶対的なものでも恒常的なものでもないというものですから、鑑定会社ごとにグレードに差異があることはいわば当たり前の事なわけですが、少し驚かれていたようです。

 これは教える側にも問題はあって、グレードの仕組みを教えることは良いのですが、多くの場合、必ずしも現物のダイヤモンドとリンクをしないという事や時と場合さらに人によって結果が違う事もあることを但し書きがないという問題点もあるのでしょう。

 以前、同じように私のセミナーを受けた方も参加をしておられて、受講後はグレードを優先して説明をすることはなくなったけれど、販売に支障をきたした覚えもないし、むしろ売りやすくなったと言われた事はうれしく感じました。

 グレードの問題が主ではなかったのですが質問の方向が一時そちらへ流れ、皆さんの興味もそちらが大きかったようなので、少し触れておきましたが特筆すべき点として

①グレードは半永久的なもの・・・・・・・・これは限定的なもので尚且つ何らかの保証がある物では     
                        ない。
②グレードは同じダイヤモンド
  であれば同じ結果が出る・・・・・・・・これは時と場合と人により結果が変わることもある。
 
③グレードで価格が決まる・・・・・・・・・価格が決まるのではなく、価格差が決まるという事になりま 
                       すが、これも状況により変わります。
 
 ①、②、③のような誤解が特に多くありましたが、いくつかの現物の同じダイヤモンドを同じメジャーな鑑定会社に出してグレードに差異があったものをお見せすることにより少しショックを受けられていた方もおりましたが、何度も言いますがグレードは単なる目安であり小売価格を決めるものではないのですから、小売りのセールスポイントに使う事は消費者に誤解を与えまた、裏切ることにもなりかねないのです。
 
 あえてお伝えしたことは値引きとグレードはセールスポイントに使うべきものではないという事と
それらは価値というセールスポイントを伝えた後に補足をする程度のものであるという事です。
 
 
勿論、今回の主題はダイヤモンドのタイプの問題やHPHT処理の問題についてであり、まだまだ議論の余地が起こっている問題でもあることを伝えることです。

 しかし、現実には市場には既にこの種のダイヤモンドが流れ始めている事なので、正しい理解をして頂く必要があります。前述のグレードのように業界側の都合で考えられた理解のし方を広めてはいけないと考えます。

 内容は割愛させていただきますが、

 誤解をして頂きたくないのは、処理石や呼び方を否定しているわけではありません。ジュエリーの素材としての処理石のポジションもあり、品物を伝えるための多少大げさな表現もあると思います、商売ですから・・。

 ただ、正確な情報や内容の開示を務めなくてはならないという事です。ルビーでいえば処理石の『ピジョンブラッド』だったり、真珠でいえば『花玉』表現だったり、以前とは違う使い方をしているならちゃんと消費者に伝えなければなりません。

 宝石はそれ自体に魅力や価値がありますので、必要以上な表現や手法を使う必要がありません。先程来から書いている内容は結果的には宝石そのものの価値を下げ、誤解や疑念を持たれるような表現や手法を業界がとってきたという事になります。

 セミナーの結論も結果的には消費者に対して正直であれという事とプロとしての知識は最低限必要であることに言及する形になってしまったことにご理解を頂くことになり、ありがたく感じました。

2014年8月20日水曜日

伝える誠意⁉

 本日は都内で3時間ほどのセミナーを行いますが、参加する方は数か月から数十年といった業界での経験を持つ方たちがほとんどです。3時間立って話すのはちょっと応えます。

 内容的にはダイヤモンドの事から始まりジュエリーについてとなるのですが受講される方たちの経験には相当の差があるので、基本的にはビジネスの行う上での原点のような話と今後のビジネスへの変化という事が題材になります。

 一つのビジネスの基本として
行動や言動により、価値を伝えることが出来る人は基本的に好かれ、それがお金になるという事です。』
 という考え方がありますが、スポーツにしろ芸術にしろ商売にしろ共通しているものです。

 つまり、スポーツ選手であれ、芸術家であれそのパフォーマンス自体が見る人びとにそれを伝える力があり、それがお金になる訳です。宝石に関していうと既に人々の五感に訴えるだけのものを持っていますので、それを伝える力を持つことがプロとしての仕事という事になります。

 経験は知識ですが物を伝える力は能力です。時々、物を伝える力だけに頼って実際には内容が伴っていない人もいます。それは後でのしっぺ返しという事になるのでしょう。

 今までに多くの人と出会ってきましたが、必ずしも多弁な人がものを伝える力がある訳ではありません。言葉多く、意味不明な人もいれば言葉少なく意味明瞭な人もいます。以前わが国の総理大臣にも言語明瞭、意味不明な人や言葉少なく、意味不明な人がいましたがどちらも消費税を導入や引き上げに寄与したので微妙なこともありますが・・・・。

 多くの販売員の方達に見られる傾向として、伝える基本的なことを取り違えているように感じます。それはセールスポイントです。

 値引き率や支払い方法というものはセールスポイントではないことは解って頂けると思いますが、例えば希少性が高いといった言葉を使う事は多いのですが、何故に希少性が高いのかという事を述べる人が少ないのです。

 つまり、価値の基準になることは説明するのですが価値を説明する人たちが少ないのです。宝石だけでいえばお客様自体が評価基準を本能的に持っています。それをいくら説明してもあまり効果的ではないし、お客様から評価を受けることもありません。

 車でいえばパンフレットを説明しているだけで、取扱説明書の内容を説明してはいないのです。取扱説明書の中にはあらゆる使い勝手が掛かれている訳です。優秀な車のセールスはその中身を使い勝手の例を交えながら有効に伝えます。後、乗り心地自体はドライバーが乗って感じる物ですから・・。

 伝える力は表現力ですが、まずは知識でもあります。そして、何をどのように伝えるかによって消費者から好かれる人とそうではない人に分かれます。つまり、プロかどうかに分かれる訳です。

 ただ、パフォーマンスだけが優れていても本質的なものに則していないと嘘を伴わなければなりませんから、結果だけを考えることは将来を失う事にもなるかもしれません。

 一番は『価値を伝える誠意』という事になるかもしれません。

 これは特殊な能力ではありません。そして本物は伝わります。

 今日も一日、東京は猛暑日です。
 ご自愛を・・・・。
 

2014年8月18日月曜日

過去、現在、未来⁉

 お盆休みも終わり、8月の後半を迎えますが海外はまだ夏休みです。いつもこの間の時間がもったいないような気がしています。

 休みの時間つぶしと言っては何ですが、現在上野の国立西洋美術館著名なアンティーク収集家の展示を行っていますが、以前私も白銀美術館での展示の時にこのコレクションを見に行ったこともあり、また、小生自身もアンティークジュエリーに関してはほどほどの興味もあり、皆に見ることをお勧めしています。

 紀元前の物から近代のビンテージジュエリーまで本来のアンティークジュエリーが飾られています。現在はアンティークとまでは呼べないような物をアンティークジュエリーとして販売している業者も少なくはないので本来のアンティークの意味合いを感じられるような良い展示会ではないかと感じます。

 勿論、アンティークに関してはこれといった定義はないのでどうこう言う事ではないのですが、以前1950年代の物をアンティークとして説明を受けた時には、少し複雑な思いでした。アンティークな人間が周りには沢山いるなぁ・・と思いつつ聞いていたのを思い出します。

 若いアンティーク業者にとっては骨董なのかもしれませんがせめて平均寿命よりは古いものをアンティークと呼んでほしいと思っています。一つの定義として百年以上という基準があっても良いのかもしれません。

 
 なぜなら、現在において技術的なものだけを言うなら既に百年以上前に完成されたものばかりがあります。あくまでレーザー等の道具が発達しただけで技術だけでいえば50年前の方が優れていたといえるかもしれません。

 技術やジュエリーの意味合い、さらに言えば千年、2千年前の歴史や出来事を知ることが出来ることはジュエリーの本来の役目であり、価値であると言えます。もっと言うならば現在のジュエリーを買う事は数百年後、数千年後をも同時に買う事になるのです。

 ゆえに取扱業者は今売れれば良いという考え方に立っていると本来の価値を歪めてしまう事にもなり、現在の安売り真珠のようにせいぜい2,3年しかもたないようなものをどんどん生産し、販売しているとやがては消費者に背を向けられることになるのではないでしょうか。

 ジュエリーに関しても耐久性のない造りの物や素材を使った物を扱っているとその場はごまかせても数年後には化けの皮が剥がれることになるのではないでしょうか。

 ジュエリーは本来過去を伝え、未来へメッセージを送るものです。だからこそ現在の姿勢が大事になってくるものです。誤魔化し販売をしていると将来こんな販売方法がとられていた時代のものです・・・といったメッセージとともに残っていくものなのです。勿論それほどの耐久性がある物であれば問題はないかもしれませんが・・・。

 現在だけを販売しているわけではないという事を、教えてくれるものがアンティークコレクションだと思います。特にその場で販売してしまえばおしまいと思っている販売業者には特に見てほしいと思っています。今の販売技術に更なる真実味が出て更なる販売につながると思います。(皮肉にとってもらっても結構です)

 現在販売しているものは未来に残っているものであることを消費者に伝えるのは販売に携わっている人たちにしかできない事です。販売前に耐久性があるかどうか造りをチェックするのは当然の仕事であり、そこを含めての販売ですので半端にならないように心掛けてほしいですね。

 ジュエリーの見た目は単なるきっかけです。本来の価値はやはり宝石の条件と同じように順序は変わるかもしれませんが、耐久性、美観性、携帯性、希少性、換金性といったものがやはり重要になるのではないでしょうか。つまり大事にされる要素もやはり必須なのだと考えます。

 将来に恥じるような販売方法はやはり慎むべきなのでしょう。もっともそれすら気が付いていない人もいるのかもしれませんが、それはも~・・・・。

2014年8月13日水曜日

本物⁉

 香港の取引先からの依頼もあり、来月の香港ジュエリーショーに出品が決まり、更に慌ただしくなってきたようなな気がします。当方が取り扱っているドイツのツェレナーの評判が前回の出品した時に思いのほか良く、今回の出品依頼となったものです。

 その際に先方から非処理の宝石を手に入れることはできないだろうかという問い合わせがあり、
事情を聴くと中国やアジア諸国のバイヤーは必ずと言っていいほど非処理の証明書を要求してくるという事でした。

 内容的には一番良しとするのがスイスの某宝石研究所のレポートであり、G.I.A(米国宝石学会)のものだという事で、日本のものはあまり歓迎をされないという事でした。理由というのも英語であることもあるけれどそれ以前に企業の影響を受け過ぎているという事でした。

 よく事情を分かっていて、日本の場合確かにダイヤモンドのグレーディングでも大量にグレード依頼が来るところのものは甘くなるという事もあります。勿論、鑑定会社も利益を追求しているところであるし、その取り扱っている依頼主のところで最後まで販売をする分には問題はない訳です。

 ただし、他社のダイヤモンドとの比較が出てくる場面では勿論問題は出てきますが、これはやむ得ない事と業界では了解をしている事です。また、それによって価格やダイヤモンドそのものが変わる訳ではないので、物を見て判断する分には問題はありません。

 問題はそれにより高価に見せたり、そこから値引きをしているふりをする輩は問題ですが、これは何処も認めないけれど、事実としてそうなっているので何とも言いようがありません。

 それらの日本事情は国外の業者はよくわかっているのでしょう。処理石でピジョンブラッドなるものがルビーに冠されたりしたら、信用しろという方が無理かもしれません。

 他の業種は日本製であれば問題がないとされていますが、宝石方面の日本の常識はやはり海外では信用されないようです。つまり、どこの国の人間でも本物が持つ価値と評価を一番大事にしていて実質的に資産になるかどうかも含めて、扱う人間が判断をできなくても証明書が本物であることを意味していることが大事なのでしょう。

 その点でいえば、日本の鑑定会社の信用は残念ながら希薄だと言えましょう。但し、国内の販売を安易にしたり、本物風に演出をする事には長けているので、販売業者にとってはありがたい存在です。

 しかしながら消費者にとっては本物を理解する障害になることは長い目で見れば問題だと言えるでしょう。

 但し、すべての鑑定会社だったり、販売会社がそうであるというわけではありません。声を大にはできませんが本物の宝石のみを扱っている宝石店や業者もいます。いつも言う事ですが宝石は沢山はないものです。処理をしたものであってもジュエリーの材料としては問題もないし、価値観の問題ですから、それで良いという人にはそれで良いのでしょう。

 本物志向とは合理性を差していますので、日本にも合理性を求める消費者は多く出てきています。高級時計を求めるのもそんなところからのでしょうし、高額な宝石やダイヤモンドを求めるのも将来的な資産や合理性を求めての物でしょう。

 本物と言えばハリウッドスターであり、小生の最も気に入っていたロビン・ウィリアムスが亡くなりました。本物を追求するあまりに自らを追い込んでしまったようです。

 彼の作品である『バード・ゲージ』を見たために、その舞台であるフロリダ州のマイヤミを仕事を作って訪れたことがあります。夜のマイヤミ海岸の、あのワイセツ観の漂うレストランやホテルのネオンは十分に映画の世界へ誘ってくれたことを思い出します。小生と同じ享年63歳残念です。

髙木  拝〈‐∥‐〉
 

2014年8月12日火曜日

ダイヤモンドの数⁉

 日本人は数を数えることは上手ですが計ることに関しては苦手のようで、あらゆる分野で世界が首をかしげる事が多いようです。

 以前にも書いたと思いますが、日本人は絵画を『号』、幾らという風に価格を設定します。つまりはがきサイズ掛けるキャンバスの大きさが値段になる訳です。しかし、小さなサイズの作品が得意な人もいれば壁画サイズが得意な人もいますので一概に『号』かける幾らという感覚は他の国の人には理解の出来ない事かもしれません。

 簡単に粋に言うと恋の数は数えることはできても、愛の数は数えることが出来ないのです。回りくどい言い方をしましたが。ダイヤモンドの数は数えることが出来ても、価値魅力は数えることはできないわけです。

 つまり、計るものというものは個数でもなく形状でもなく概念であり、感性でなわけです。付加価値というものは計る度量を持ち合わせているかどうかという事です。

 私自身も侘び、寂(ワビ、サビ)を理解できる方ではないので偉そうなことは言えません。何故ならダイヤモンドを数える仕事をしてきたのですからやむを得ないのです(自己弁護みたいですが)。

 ただ、小売りに近いところに来て感じることはダイヤモンドを4Cグレードで数えてきた過去のジュエリー業界は終わりを告げ、他の宝石を含めて消費者の志向が変わってきたという事です。

 真珠でいえば花玉だとか、ルビーでいえば処理石のピジョンブラッドだとか、相も変わらず文字や数字で宝石を売ろうとしている輩が多くいますが、宝石を判断する一番の基本である感性や概念といったもの大事にするといった本来のプロが少ないのはつくづく残念です。

 多分、私と同じように侘び、寂を理解できない人が多いのかもしれません。大げさに言えば心で販売をするものですから、感性が鈍い人には無理な業種なのかもしれませんが、それでもやれているのは宝石の魅力なのでしょう。

 勘定をする事より、計ることの大事さは人間性でもあるのでしょう。もちろん日本人の優秀さもあり、その特徴をうまく利用した売り方自体を一部の利便性を考えて作ったのも我々の時代の人間ですから責任もあります。

 それがいつの日からか全体的に心で測るものまでもを数字や文字で判断をするようになってきたのかもしれません。それは現代の日本社会の在り方に似ているような気もします。

 日本人は戦争をする国の人を理解することは難しいかもしれません。しかし、同じように日本人の物の見方を理解できない他の国の人も多くいることは忘れない方が良いかもしれません。お金で済む事と済まない事は国によって違います。

 ダイヤモンドの魅力や価値は数ではありません。勿論それに伴う価値はありますが原点は『心』
です。心を語れる販売をしてみてはいかがでしょうか?そして、心で感じてダイヤモンドを求めてはいかがでしょうか?

2014年8月9日土曜日

展示会の変貌⁉

 最近、何か所かの展示会を回る機会があり、その変貌には少し戸惑いました。というのは本来の展示会場の基本のレイアウトとは似つかわしくないものが多くなっているなぁ・・という実感です。

 “どうせん”には動線と導線の2種類があり、動きやすくするためにはともに同じ意味なのですが展示会や小売店等では買い物機会が増す左周り、つまり時計の逆回りに導線を造ることが買い上げ率を上げることにつながるという事になるのです。

 人は一般的に時計回りは動きやすくスムースに歩きますが、その逆は動作的に鈍くなると言われていますので展示しているものをゆっくり見ることになるのです。それゆえ売りたい物をさらにコーナーに置くことにより注目機会が増える訳です。

 最近の展示会事情はそこまで綿密にやらなくても良いと考えているのか、そこまでの専門家がそれぞれの主催者側にいないのか宝飾展示会の創生期に携わっていた者には少し違和感を感じる次第です。

 また接客に関してもお客様を来場時は挨拶以外では流して自由にご覧にいれさせる、その上で興味のあるものをご自分で手にするものに対して注目をし、お客様を煩わせないようにしながらアプローチをするというものが基本でしたが、それも少し様相が変わってきたように思います。

 さらに不思議なのが販売員がお客様にくっつきながらトレーにいくつもの商品のせ、くっついて歩くというもので、以前であれば先輩からのカミナリものであった様子です。複数の商品を乗せすぎることにより販売時間も長くなり、お客様にしてもお勧め商品がどれなのかを迷いますし、なにより商品が汚く見えます。

 何よりも展示会場に優雅さもなく、本来であれば非日常を感じる場所がスーパーマーケットのような様子さえ見られます。お客様は本当に満足をしているのでしょうか?

 感想からすると販売側に自信がないという印象を持った次第です。つまり、宝飾の展示会なのにゆったりと構えてはいないという事です。

 もちろんすべての展示会がそうだとは言いません。展示会の創生会社でもあるH社はやはりその辺にそつはなく販売目的の物に至るまでに期待を持たせるようなアプローチが会場にあり、お客様が優雅に販売員との距離を気にすることもなく、ゆっくりと宝飾品を見ておりました。

 実際に聞くと多くの販売員はお客様をほっとくのは失礼だというのですが本当にそうでしょうか?
自分の立場になって物を買う時の事を考えてみたらどうでしょう。

 ピッタリとくっつかれ、商品を沢山持ち、どれそれ構わず勧められ挙句の果てに『沢山値引きをしますから買ってください。』と言われ、その商品に魅力を感じて購入できるものでしょうか。

 傍から見ているととても商品を勧めているようには見えないばかりか、お客様を追い詰めているようにさえ見えます。自分の立場になって考えると分かりやすいかもしれません。
 

 また、商談中にお茶やケーキをお出ししている意味も理解が出来ていないようにも見えます。単なる『オモテナシ』ではないのです。人間は心理的に物を口に入れ飲み込むことにより、イエスという答えを心理的に出しやすいことを利用したものなのですが、そのタイミングもうまく利用されていないようにも思います。

 また、会場の温度はとても大事で温度が高いと、人は攻撃的になり物を勧められることを望まないので、会場の温度には特に夏の時期は気を付けなければなりません。勿論寒いからと言って購入動機が増すということではなく、適温を保つという意味で温度管理は徹底して行うべきなのです。

 以前(現在ではない)のH社では、来場人数を把握の上会場側に設定温度をリクエストしていたことを覚えていますが、担当者が1時間おきに室温を調整し、来場人数に合わせて温度調整をしておりました。

 もちろん今は今の事情があるのでしょうが、時代に関係なく人の心理的な購入意欲は変わりません。形ではなく展示会場で行われていることに関してはチャンとした理由があります。

 それゆえ、形だけの展示会の様子を見ていると消費者に対するリスペクトが掛けているようにも思いますし、巧みな販売手法も生かされていないように思います。

 また、ある程度の誇張は販売の上で必要なことではあると思いますが、嘘や告げるべきことを告げないという販売は後でのしっぺ返しが必ず来ます。

 『お客様は神様です』
懐かしいフレーズですが、思い出してみませんか。神様はお見通しです。

2014年8月7日木曜日

巡り合い⁉

 以前に、昨年の香港ショーにおいてその8年ほど前に、自分自身が気になって購入しようとしていたが手に入れることのできなかったダイヤモンドに巡り合った事を書いた記憶がありますが、自分にとって魅力のあったものはやはり同じようにいつまでも魅力があるものだと思っています。

 4か月ほど前に展示会においてとても気になっていたダイヤモンドを今月お買い上げになったお客様がおりました。ところがその客様はその時にとても気に入っていたダイヤモンドと同じものだとは気付かれずにお求めになったもので最後まで気づかれずにおりました。

 今回は他のダイヤモンドや製品とも比べてもどうしてもそのダイヤモンドが気になってしょうがないという事で購入をお決めになったのものです。

 4か月前の前回も最初に気に留めてとても気になるダイヤモンドだとおっしゃっており、財政的事情が許すのであれば是非購入をしたいという事でしたが、その時は断念をされておりました。

 途中で当方も気づき、お知らせするべきかどうか迷ったのですが結果から言いますと購入決定後にお話をした次第です。

 巡り合わせなのでしょうか、そのダイヤモンドに関してはやはり2か月前ほどにとても気に入って頂き、欲しいというお客様があり、ただ自身で決めた半年はジュエリーを購入しないという決意が揺らぐのが嫌だと仰っており、だけれど、もし数か月後も残っていたら購入をしたいと言っていたお客様が隣の席でお茶を飲んでおられたのです。

 人間の感性というものは素晴らしいと思うとともになんとも奇妙な巡り合わせだろうと感じながら私自身しか見えないエピソードを堪能しておりました。感性の似た人同士は行動パターンもおなじようになるものなのでしょうか。

 宝石というものは何故か偶然や奇跡的なことを起こしてくれる力みたいなものを感じます。2つの例だけを書きましたが、経験から同じような巡り合いや出来事が多々起きてきたことを思い出します。

 人類にとって一人一人の人生は一コマ一コマかもしれませんが、宝石というものはそのコマを繋ぐジョイントみたいなところがあります。宝石の永遠性というものは人と人を繋ぐとともに個人そのものの過去と現在そして未来を巡り合わせてくれます。その上で世代を超えてくれます。

 宝石の永遠性は時間を超えてくれます。それゆえ処理石ではあってはいけない存在でもあります。処理石はジュエリーの素材としての役割はありますが宝石としては役不足でもあります。

 宝石というものは本当に不思議なものでその価値を感じなければそれを扱う資格も買う権利もないような気さえします。本物の価値だから起きる事があります。

 なんでも商売になればよいという時代は終焉を迎え、本物を求められる時代になってきていることを知らせてくれるような巡り合いを目の前で今回も見させてもらいました。

2014年8月2日土曜日

免許⁉

 昨日のセミナーを終えて、主催者からアンケートを見せて頂きました。大方評判はよろしかったようで少し安心をしましたが、数年前にもセミナーを受けられた方もいらっしゃったようでそれ以降の販売が少し楽になったという内容を見せて頂き、少しはお役に立っているのかな・・と安心を致しました。

 50数名の方が受講なさったのですが、やはり、立場もいろいろでファストジュエリーを取り扱っているお店から、ブライダル、ブランド、催事と様々なジャンルの販売員の方達なので一概には語ることはできないのですが、宝石の価値という基本的なことを覚えていただくには良い機会だったのではないかと思っています。

 価値と価値観という事に関しては以前にも述べましたが、価値観はそれぞれ人によって違う事は当然ですが、価値という事に関しては皆が一致をしている事なので、まずはそれをご理解いただいたという事になります。つまり、活躍をされるフィールドが違っても基本は知っておかなければならないという事です。

 本来の価値を知って価値観を持つことは免許を持って車を運転するようなものですから、当然と言えば当然なのですが、実際には売れれば良いという考え方になる方も多いわけです。車の免許は持っていないけど運転はうまいと自慢をしていても道路を走るには道路交通法という法律というものがあります。それを理解することが免許を持つ基本ですから、それを知らなければいずれ大きな事故につながることになるのでしょう。

 どのジャンルの立場であっても宝石というものを扱う以上はその知識と価値が伴わなければなりません。他の業種に当てはめても、家電であればその知識、車であればその知識をそれぞれ持っている人が説明をするので安心して買えるわけです。商品の説明をせずに大幅な値引きをされたからといって安心して商品を買えることはまずないでしょう。

 中にこのような意見がありました。
『ジュエリーの説明をしてお客様にお気に召していただいた後に、メーカーさんが来ていきなり3割もの大幅な値引きをしたために、お客様が不審に思われて保留にされることがたまにあります。その上でもっと販売をしてくださいと言われて困惑することがあります。私たちの立場はジュエリーの説明ですがうまくできたと思った時ほど大幅な値引きがネックになることがあります。価値観が違うという事でしょうか?』

 といった内容でアンケートを書かれていた方もいらっしゃいました。この方は販売員として祭事等に派遣をされメーカーさんのお手伝いをしているそうですが、彼女たちにとってのお客様はメーカーさんという事になるので歯がゆさを覚えているという事です。

 真面目に勉強をされている販売員さんほど困惑を隠せないという状況は決して良いことではないと思います。しかし、多くの現実は自らの首を絞めるような方法がまかり通っているのかもしれません。

 タクシーに乗っている多くのお客様は運転手が免許を持っていないとは考えもしていません。仮に運転が下手でも免許は持っているだろうと考えます。

 お金をもらうプロというものは免許を持っていて当然です。事故が起きてから免許を持っていませんでしたとは言えないわけですから、免許を持って安全運転を心がけるべきではないでしょうか。

 免許はプロとして当たり前の努力で手に入ります。