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2018年12月21日金曜日

プライスレポートの弊害⁉

 ダイアモンド業界の人やダイアモンドの興味を持たれている方であればよくご存知の『ラパポート・レポート』というプライスリストがあります。

 これは以前ダイアモンドのビジネスを行っていたマーティン・ラパポートなる人物が始め、今では世界中のダイアモンドを扱う人間の必須アイテムのようになっているのですが、ここに大きな落とし穴があります。

 元々はダイアモンド取引所の其々の取引金額のアベレージを記し、それがいつの間にか取引の目安となったのですが、実際には当時から取引の総金額や石目によっても出っこみ引っ込みはあったのです。

 しかし、それらは小粒ダイアモンドが主体の時代にはよかったのですが現代のように1ctサイズが決して大粒ではない時代に入ると実態には伴わないものとなってきています。

 何故なら絶対量のあるものであればその平均値も出るのですが、大粒になるほど少量になるものを平均値をとることは難しいのです。例えば1ctであればロットのビジネスは多く見られますからその平均グレードに対しての平均値は求めやすいと言えます。しかし、2ctサイズ以上になるとなかなかロットという訳にない来ません。

 つまり、one by oneのビジネスになりますから平均値をとることは難しい作業となります、勿論それほど多くのビジネスにもなりませんから取引所での平均値をとることも難しくなります。

 しかし、レポート上ではなんとなく比例してグレード毎の上げ下げをしているだけですから価格差に矛盾も出てきています。

 それ故に現在の取り引きではリストの何%マイナスとかプラスといった金額を示すことになります。そうなるとバイヤーが価格を聞くとプライスリストの10%マイナスとか20%マイナスとかという答えがブローカーから帰ってく訳です。

 これは簡単な手法ですから素人でも商売が出来ます。しかし、結果としてプロのダイアモンドブローカーが育たず、又バイヤーも言われた%を計算機で計算するだけで実質的なダイアモンドを見る機会がなくなります。

 それぞれの%がなぜ違うかというと実際に金額とプライスリストに載っている価格は違うという事です。つまり、プライスリストにはダイアモンドのプロを育たなくする弊害と購入希望者にいらぬ誤解を招くという弊害があるわけです。

 以前にも書きましたが、大粒のダイアモンドになると同グレードであっても瑕の位置や色の具合、更にはカットの%そしてライフの違いにより20%~30%の違いが出ることも稀ではありません。
ゆえに販売者側がダイアモンドの実質的価格を言っても買い手がプライスリストだけをもとに話していると商談は決してうまくはいきません。

 そうなると販売側も決して素材的には良くなくてもグレードが出ているものを優先して扱おうとしますので物としてはあまり良くないものが消費者に渡ることになります。その辺の是正をできるプロが多く出てくることを望みたいものです。
https://ameblo.jp/diamonrow

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