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2015年10月2日金曜日

夢と誇り⁉

 先週、池袋で行われた国際宝飾展なるものに知人の会社が出展するという事で久々に池袋に足を向けてみました。慣れない場所なので会場に着くまで一苦労ということになりました。多分十年ぶりになるであろう池袋は豹変し、以前の暗いイメージは払しょくされ、一部の痕跡を残す程度の華やかさがありました。

 やっとの思いで会場に着いて、その雑然とした様相には一寸驚かされたしまいました。出展をしていた知人は
『もう宝飾展なんて夢の夢ですね。ここはタダのバーゲン会場ですよ。』
と嘆いておりました。

 確かに、各ブースにはバーゲン会場ならぬチラシが沢山貼ってあったり、そこいらじゅうに赤字で書かれたプライスが置かれていたりと、およそ宝飾業界に身を置いていたなら恥ずかしくなるような状況がそこにはありました。

 主催者が何を目指しているのかはわかりませんが、業界に将来を念頭においているという事は考えにくい環境でした。そんな中で表彰をされる女優やタレントもたまったものではありません。TV等の取材が仕込まれていますから致し方がないと思いの出席でしょうが・・・。

 会場には明らかに消費者と思われる来場者もあふれ、さながら五反田で定期的に行われる金融市の様相を呈しておりました。何時からこのようになったのかはわかりませんが、販売する方にしてもその場で誰にでも売れれば良いといった風情でおよそ真剣にビジネスをという感じではありませんでした。

 古い事ばかり言うと笑われるかもしれませんが、以前の出展社であれば、もう少し新製品を前面に出し、コンセプトを上手く現したディスプレーなども多くあったものです。現在の会場に宝飾展の冠は似つかわしくはないとつくづくと感じた次第です。勿論、仕入れてみたいと思うようなものがある訳はありません。

 現状を考えるとこれは単に宝飾展だけの問題では無く、業界全体の問題でもあるのでしょうが、宝飾を本当に知っている世代が少なくなって、更に勘違いをしているような人々がジュエリーデザイナーと名乗り、勘違いをしているような職人が販売に現れ、自己主張だけが先行し実力が伴ってきていないという事もあるのでしょう。

 これは彼らのせいだけではなく、その先行をしていた我々世代の責任でもあるのでしょう。

 我々のビジネスは『夢と誇り』を生業としているという事の事実を真剣に伝えてこなかったような気がします。彼らが世に出るようになってバブルが崩壊後、宝飾業が前面に出て活躍をする事はなく彼らは本来の宝飾市場を知らずに今日を迎えています。

 例えて言うなら料亭のすき焼きの意味が解らずに、チェーン店のすき焼き丼を食べてそれがすき焼きだと思っている訳で、その世界しか知らなければすき焼きはそういうものだと覚えてしまう訳ですから、そのレシピをきちっと伝えてこなかった世代の責任も大きなものがあると思います。

 『夢と誇り』を売るといっても鼻で笑われそうですが、私たちの仕事はそういうものだと認識をしています。よれゆえ、同じ志を持つ同志を募り、再度業界の在り方を問いたいと考えています。
http://ameblo.jp/diamonrow

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