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2012年12月19日水曜日

ダイヤモンドの販売。

 昨日、取引先の社長と話している中で最近の販売に悩んでいるという相談を受けましたが、その内容というのは

『商品量やデザインを以前より豊富にして見たけれど、何の効果もない』

というものでした。つまり、デザインや量ではないのではと悩んでいる訳です。

 特にダイヤモンドに言及をしてお話しをなさっていたので、自らの経験をお話しさせて頂きました。現在の状況下で贅沢品と思われているダイヤモンドジュエリーの選択値を増やしたからといって、それが販売にイコールつながるという事は難しいと考えています。

 ここ二、三年ルースでの販売を心がけている私としては、逆に形ある物の販売は難しいと考えていますのでお気持ちはすごく理解できます。

 デザインのあるものは『似合う、似合わない』『好き、嫌い』といったネガティブな選択値もあって選びますが、今の社会状況でいえばお客様からはまずネガティブな言葉から出て来ます。

 一方、ルース(裸石)は手のひらに乗せてあげて

『どうですか?綺麗でしょ?』

といった問い掛けに対して

『汚いわ』とか『そうでもないわ』といったネガティブな発言はまず出て来ません。

 ビジネスの基本として相手が価値を感じていないほど難しい事はありません。つまり、ポジティブな精神状態から物を見てもらうのと、ネガティブな状態から会話が始まるのでは雲泥の差があります。

 その後の会話にしても『美しい』という価値観を共有しながら、ダイヤモンドを中心にお話しを進めていっても、なんら拒否反応は出て来ません。後はお客様が興味を持たれれば買えるか買えないかというだけの話です。何としても欲しくなったお客様はこちらに条件を提示してくる事がほとんどです。つまり、支払とかお値段とか・・・・。

 現代においてデザインとかグレーディングレポートといった難しい販売方法をとるということは現実的ではなく、まずはお客様にポジティブにものを見てもらう事が大事なのです。

 お客様にとって自らの価値観ではないデザインや理解のできないグレードというのはむしろ、面倒な購買方法なのです。デザインされているジュエリーに関してはまず素材のダイヤモンドを見る事はありません。裸石であればダイヤモンドそのものを見て自分の判断をしていますから、購入動機としてはハードルが下がるのだと思います。

 販売する方達も自らも購入する立場に立ってみてください。理解が出来ない説明された価値で物を選びますか?そんなことはないと思います。

 売る側の都合で出来たのがグレーディングシステムです。決して購入側の利益を前提にした物や理解がしやすいようにしたものではありません。素人がすぐ販売を出来るように販売側にも購入側にも何となくわかったような気にさせるだけのシステムです。

 本当のプロの販売方法は必ずしも知識ではなく、購入者側に立って理解がしやすいように表現をする事です。前述の社長の考え方は手前味噌と言っては怒られるかもしれませんが、販売者側の都合に立った売り方であり、何処に何があるかも解らないような量の並べ方は決して消費者は喜んではいません。

 我らが職業はディスカウント量販店のような売り方は決して似合いません。興味を持って頂いた物をじっくりと見て頂いて購入意欲をまず持ってもらう事が大事なのです。

 裸石の販売においても石を重要視して販売ですから、製品に加工をするにしてもそれほど難しくはないシンプルなものが多くなります。それゆえ、その後の面倒も思っているほどはないのです。

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