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2013年5月28日火曜日

ダイヤモンドの本分!?

 当方の販売するダイヤモンドの3割くらいはルース(裸石)のままです。勿論、多くの人はルースで選んだ後に製品にするのですが、ルースで買われた方達の多くは男性のコレクターであったりもするのですが、それ以外の女性客の方々そのまま持っていたいという方です。

 通常でも書いている事ですが、ダイヤモンドが経済的価値を持ったのは中世から近代になってからの事です。自らがビジネスをしていて恥ずかしい話ですがダイヤモンドの本当の価値というものを理解したのはここ数年の事のような気がします。

 展示会に参加をするようになり、ルースの販売をするときにほとんどの場合説明が要りません。というのはお客様がダイヤモンドを見て反応して綺麗と感じた時点で説明をする事はほとんどありせん。ダイヤモンドが綺麗に見えるという事に置いてはプロもアマチュアもないのです。

 本来にダイヤモンドの価値というものは見て美しいと思う事で、その点においては風景を見て美しいという感覚とほとんど変わらないのだと思います。そして、その美しさは其々の感性なので説得するものでも解説をするものでもないのでしょう。裏を返して言うと其々のもので比べようもないという事になります。

 その上での解説や説明はあると思いますが、それはあくまでもダイヤモンドの存在価値であったり経済性の説明で、その上で販売員さんとの間での価格交渉であり、支払方法です。

 先日の展示会でのこと二十代前半と思われるお客様がじっと一つのケースを見ており、販売員がお勧めをして、商談コーナーにお持ちになり、一緒にいたお母様と何かお話しをしておりました。

 時間が空き、そのお席にお邪魔をするとその娘さんは
『ダイヤモンドってこんなに美しいものなんですね。今までこんな気持ちでダイヤモンドを見たことはありませんでした。大体はジュエリーを見てデザインがどうのこうのという事だけでしたからね。』
とウットリとするような眼でそのケースを眺めていました。

 私はその中に入っていたピンクとイエローそして白いハートの其々の説明をすると、他のお客様に呼ばれてその席を立ちました。

 一時間ほど経ってみるとその親子はまでその席におり、一時間前と全くそのままの景色のままでおりました。その席に近づき
『如何ですか?かなりお気に召したようですね。』

お母様が
『この子のこんな事は初めてです。私もそんなこの子を見ていると何故幸せな気持ちになっているんですよ。来年この子はお嫁に行くので名残惜しいという事もあるのかも知れませんね。』
というと
『こんなに癒される物があるなんて、ビックリです。時間が経つのも忘れていました。』
と娘さんが言った時には既に2時間が経過をしようとしていました。

お母様が
『欲しいの?』
と尋ねるとコクリとうなずき、何故か恥ずかしいそうに・・・。
『それじゃぁ、そんなにほしいならお母さんが買ってあげる。その代わりお姉ちゃんには内緒よ。』
とニコリ・・・。

 結果的にはお求めになっていったのですが何故か私も幸せな気持ちになりました。現代ではグレードだとか安い高いなどという事が前提に有るようなビジネスになっていますが、ダイヤモンドの本分がそこにはあり、その上でビジネスが組立てられてきたのです。

 しかし、現在は逆になっており、本来に価値を前提にしないビジネススタイルが業界そのものを苦しめているのだと思います。勿論、反論のある方達も沢山いるのでしょうけれど、ダイヤモンドの本分という事に置いては美しさという価値が前提に有る事には異論はないと思います。

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