ページビューの合計

2014年9月29日月曜日

感じている事⁉

  先週末、ご来店のお客様が
『こちらのお店は、最初入りにくいお店だと思っていたんですけど、何回か来店していると色々な方をご紹介していただいたり、食べるとこを案内してもらったりで便利というか居心地の良さを感じますよね。』と当方の印象を述べられていました。

 今から35年ほど前にになります。米国に在住中にビバリーヒルズのロデオドライブにあるとある宝飾店に在職をしておりました。このお店にはビバリーヒルズの住人はもとより、世界中の人々が訪れておりました。(特にお金を持っている人々ですが)

 日々の売り上げの中でも数億円の物が売れるようなお店でしたから、それなりの顧客がいたわけです。

 ある日の休日、このお店のオーナーの家を訪問をすることになり、ビバリーヒルズの中でも特に高級なエリアであるベルエアにあるオーナーの家を訪ねると、勿論広い敷地の中に平屋ではあるけれど屋根の高い白亜の邸宅がカリフォルニアの青い空に映えるパームツリーの間に建っていました。

 家の内部はご想像に任せるとして、訪問を終え、その家を去る時にオーナーが通りまで20~30メートルはあろうかというアプローチを歩きながら送ってくれた時に、隣人のご婦人を見つけられ、声をかけておりました。

 『やぁ~。この間はどうもありがとう』

 『こちらこそ、貴方のジュエリーはいつも満足をしているわ。』
ご婦人は明るく声を返してくれました。

 『私のとっておきの品物を譲って上げたからね。』
と何か、上目線な感じ・・。

 オーナーは私に小声で
『先日、彼女は5カラットのルビー買ったんだよ。』
と囁きました。

私がふざけ半分に
『手近にお客さんがいて良いね』
といったところ

『KAZも、もし宝石を続けるのならお客様と同じかそれ以上の経済力かパーソナリティーを持つ努力をするべきだよ』
と諭された。その言葉はいやらしくも聞こえず、宝石商の真理を捉えたような言葉と場面でありました。

 それからは実質ダイヤモンドのディーラーという職種が長かったので、暫し、忘れかけた言葉でしたが、小売りに接するようになりつくづくとオーナーの言葉が思い出されるようになりました。

 勿論、未だにお客様ほどの資金は持っておりませんが、お客様が海外に行かれる時にお勧めのレストランを訊きにわざわざ来店されたり、お子さんの留学の相談をされたりと、仕事で海外に行く際に現地での知り合いを紹介したりといった面が、確かにビジネスをする上でプラスになっているなという事を感じます。

 基本的には情報や新たな場面を紹介してくれる場所に消費者は集まってくるし、価値を感じる物であったり、自分よりお金があったり、物を教えてくれるような人々を見くびることはないであろうし、
宝飾品を売るうえで消費者に見くびられるほど商品価値を下げることはないという事が、かのオーナーの言わんとしている事だと感じる訳です。

 例えば、習い事のお師匠さんが勧めてくれるものに対して『幾らにしてくれますか?』とか『安くしてください』とはなかなかいえません。つまり、自分よりある種、上にいると認識している人間に対してはなかなか失礼な態度はとれないのです。

 何かにつけて『幾らにしてくれるの?』とか『安くしなさいよ?』と言われることの多い販売員はやはりその辺を意識する必要があるのでしょう。

 当店の多くのお客様は品物に対して
『譲っていただけますか?』
という言葉をお使いになります。そこにはお客様の品だったり、教養を感じざるを得ません。

 決して当方に教養があるとか、高飛車に出ているというわけではありません。真摯にダイヤモンドを知ってもらう努力をし、お客様が興味を持たれるようなことにアンテナを張る努力をしているだけであり、更に、せめてお客様が見て貧弱に見えないような服装や周りを作る努力をしているつもりです。

 お客様は非日常の一段上の場所で物を購入する事を楽しみたいのです。お客様のレベルを上げるのも、下げるのも販売側の鏡であることを感じざるを得ない昨今です。

0 件のコメント:

コメントを投稿