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2013年5月31日金曜日

ダイヤモンドのブログ!?

 小生がこのブログを書いている意味を誤解をしている方も多い様に思いますので、改めて自らの肝に銘じる意味でも振り返ってみると、このブログを書くきっかけになったのは還暦を迎え、ダイヤモンドのビジネスや社会に対する自分の思いを再認識する為でした。

 毎回、自分の感じている事や思いを手記のように書き留めていたい、その上で自分が携わってきたダイヤモンドに対しての認識とその変化を綴っておきたかったからです。

 もし、自らの考えや経験してきた事により、偏ったダイヤモンドビジネスの見方により小さくなっていったダイヤモンドの市場が少しでも広がってくれればという思いです。

 確かに、今までの市場を否定をしてり、卑下するつもりもありませんし、ある部分都合のよい事もあり、その結果市場が広がってきた事も事実です。しかし、都合が良すぎた部分行き過ぎた事もあったのです。その結果、市場に誤解を招くことになった事もあるわけです。

 グレード市場主義は日本という市場にマッチしたことは否めません。しかし、グレードというものが唯一の物に適用できない事を失念し、全てを一様の中に入れ込もうといた結果ビジネスが難しくなってきた事にまだ気がついてもらえません。

 現役時代であれ、引退後であれ長嶋氏と王氏をグレード評価できる訳はありません。つまり、比較対象になっている様に見えて、実は其々の個性から来る好き好きであって、それが彼らの実績を損なうものではありません。

 ダイヤモンドは極端な例をあげるとそういう事で、二軍の選手をグレードで分ける事はある部分までは可能かもしれません。しかし、ある種のダイヤモンドという前提で考えるとグレードだけでは、というよりグレードで分ける事は出来ませんので個性を売りにした市場もあるのです。

 市場の新たな可能性だったり、それがダイヤモンドのビジネスの発展形だと考えるので、あえてこのようなブログを書いております。

 今後とも、お気に召して頂いておりましたらご購読ください。また何かコメントがありましたらお願いします。

2013年5月28日火曜日

ダイヤモンドの本分!?

 当方の販売するダイヤモンドの3割くらいはルース(裸石)のままです。勿論、多くの人はルースで選んだ後に製品にするのですが、ルースで買われた方達の多くは男性のコレクターであったりもするのですが、それ以外の女性客の方々そのまま持っていたいという方です。

 通常でも書いている事ですが、ダイヤモンドが経済的価値を持ったのは中世から近代になってからの事です。自らがビジネスをしていて恥ずかしい話ですがダイヤモンドの本当の価値というものを理解したのはここ数年の事のような気がします。

 展示会に参加をするようになり、ルースの販売をするときにほとんどの場合説明が要りません。というのはお客様がダイヤモンドを見て反応して綺麗と感じた時点で説明をする事はほとんどありせん。ダイヤモンドが綺麗に見えるという事に置いてはプロもアマチュアもないのです。

 本来にダイヤモンドの価値というものは見て美しいと思う事で、その点においては風景を見て美しいという感覚とほとんど変わらないのだと思います。そして、その美しさは其々の感性なので説得するものでも解説をするものでもないのでしょう。裏を返して言うと其々のもので比べようもないという事になります。

 その上での解説や説明はあると思いますが、それはあくまでもダイヤモンドの存在価値であったり経済性の説明で、その上で販売員さんとの間での価格交渉であり、支払方法です。

 先日の展示会でのこと二十代前半と思われるお客様がじっと一つのケースを見ており、販売員がお勧めをして、商談コーナーにお持ちになり、一緒にいたお母様と何かお話しをしておりました。

 時間が空き、そのお席にお邪魔をするとその娘さんは
『ダイヤモンドってこんなに美しいものなんですね。今までこんな気持ちでダイヤモンドを見たことはありませんでした。大体はジュエリーを見てデザインがどうのこうのという事だけでしたからね。』
とウットリとするような眼でそのケースを眺めていました。

 私はその中に入っていたピンクとイエローそして白いハートの其々の説明をすると、他のお客様に呼ばれてその席を立ちました。

 一時間ほど経ってみるとその親子はまでその席におり、一時間前と全くそのままの景色のままでおりました。その席に近づき
『如何ですか?かなりお気に召したようですね。』

お母様が
『この子のこんな事は初めてです。私もそんなこの子を見ていると何故幸せな気持ちになっているんですよ。来年この子はお嫁に行くので名残惜しいという事もあるのかも知れませんね。』
というと
『こんなに癒される物があるなんて、ビックリです。時間が経つのも忘れていました。』
と娘さんが言った時には既に2時間が経過をしようとしていました。

お母様が
『欲しいの?』
と尋ねるとコクリとうなずき、何故か恥ずかしいそうに・・・。
『それじゃぁ、そんなにほしいならお母さんが買ってあげる。その代わりお姉ちゃんには内緒よ。』
とニコリ・・・。

 結果的にはお求めになっていったのですが何故か私も幸せな気持ちになりました。現代ではグレードだとか安い高いなどという事が前提に有るようなビジネスになっていますが、ダイヤモンドの本分がそこにはあり、その上でビジネスが組立てられてきたのです。

 しかし、現在は逆になっており、本来に価値を前提にしないビジネススタイルが業界そのものを苦しめているのだと思います。勿論、反論のある方達も沢山いるのでしょうけれど、ダイヤモンドの本分という事に置いては美しさという価値が前提に有る事には異論はないと思います。

2013年5月25日土曜日

ヴァージン・ダイヤモンド!?

 先日、久しぶりにIJK(神戸国際宝飾展)を訪ねました。場所柄かやはり真珠屋さんが多く出展しており、ある種の特殊性というかローカル色を感じました。

 その中でも異彩というか以前とは違うなあと感じたのがリサイクル業者さん達の出展でした。昨今どちらの宝飾展にも多く出展をしておりますが、規模から考えると随分多く出展をしているなあという印象でした。

 その中でも日本で有数の買取業者のブースには沢山のインド人業者やダイヤモンド業者が検品の為に列をなして整理券をもらっておりました。印象的にはやはり国内でのリサイクルダイヤモンドが随分とシェアを占めているんだなあ・・といった印象でした。

 最近ではすっかりと海外の取引所では日本のバイヤーを見かけることはなくなり、中国人バイヤーが多いといった感は否めませんでしたが、国内でのリサイクルダイヤモンドがその裏付けをしてくれる感じがします。

 多くのインド人はインドや他の国でりカットをしては再輸入をしたり、他国へ販売をしたりしており、日本の業者は国内で再販をかけたりとしており、さらには御徒町界隈での『市』と呼ばれる会での売り買いをしており、それが国内での流通に回ったりしている訳です。

 昨今の地金の値上がりや不景気で買取屋さんが多く街角でのぼりを立てていますが、これらから買い取られたダイヤモンド逆流をしている訳ですが、ダイヤモンドが再版され利用をする事が出来るという証明みたいなものです。これできちっとした買取基準が出来れば(実際にはプロが買取をしている訳ではないので難しい)、もっと利用価値が高くなり、資産性も注視されるのではないかと思っています。

 さてと、そこでそのような再販ダイヤモンドは嫌だなと思う方達も実際にはいらっしゃると思うのですが、多くは御徒町などの流通を通して小売店頭に並びますのでそれを見分けることはほぼ不可能な訳です。

 私自身は原石を研磨し、取引所で直接買付をする事に有る部分でこだわっており、販売する物に関してはストレートに消費者に届くように尽力しております。それは国内での再販ダイヤモンドの方がその分価格的には安いかもしれませんが、市場にまだ出ていないもの、そして他者と比べる事のないダイヤモンドを届けたいと思っているからです。

 買付けた物に関しては比べる対象がないのでグレードを付けることはあまりありませんが、ご希望の方には対処しておりますが、理解をされた多くの方達はグレーディングレポートは希望をしません。グレードはあくまでも比べる対象がある場合にだけ必要であることは明晰な方達にはすぐ理解できるからです。

 このように取引所から(周りの買付事務所ではなく)直接買付をしている小売店や販売方法は稀事ですが、長年の取引所生活の中で出来た人間関係で少量(小売店レベル)の取引を許してくれているユダヤ人仲間のは感謝をしています。

 私はこれら原石から研磨をされ直接市場に出るダイヤモンドをあえて『ヴァージン・ダイヤモンド』と呼んでいます。勿論、国内の流通も通っていないことも前提としています。一般的には国内流通を通しているものでも良いと思いますが、前述のように再販の物も含まれる可能性がありますからあえて自分で前提を作っております。

 ただ誤解があってはいけませんが再販ダイヤモンドを否定している訳ではありません。再販が出来ることがダイヤモンドの強みであり、オークションのほとんどは再販です。

 ただ、孤高の一品として持ちたいと思われる方には『ヴァージン・ダイヤモンド』である事にこだわりのある方達もいらっしゃるので、その方達の一助になりたいと考えますし、誰もが出来ることではないので、その職に携わっていた私が天職と考え、続けたいと思っている訳です。

2013年5月24日金曜日

株とダイヤモンド!?

 昨日は1100円を超える株の暴落で一時はブラックチューズデイ果という騒ぎでした。しかしNYのダウもそれほどの影響もなく終わり、多くの投資家達は胸をなでおろしている事でしょう。

 以前にも書きましたが現在の株は情報戦+ソフト+衝動です。勿論、以前から情報戦であった事は間違いがありませんが、そのポジションによってのアンフェアが起きないようにインサイダー取引等々の法律も整備され公平さが出てきようにも見えますが、そうではありません。

 豊富な資金だけではなくIT技術の駆使ソフトの開発等々本来の株の取引とは関係のない分野が相場のある部分をコントロールしています。

 その事は決して良い事ではありません。健康的な市場原理とは言えないからです。強いて言うならラスベガスのマシンカジノはコンピューターによって制御されており、たまたまその機械の前にいた人が幸運を手に入れるといった構造ですがまさにその構造です。

 本来の株式市場というものはそういうものではない事は皆が知っている訳ですが、今後はソフトの開発力がある人が株式市場でも活躍することになるのでしょう。

 現在のダイヤモンド市場は以前の株式市場に似ています。情報量を持っている人が利益を得ることになるのです。今どこにどういった物があるのかを知っていて、それを手に入れるコネクションがあるかどうかに寄ります。決してソフトの開発によってコントロールされることはありません。

 今月に入って国内でも数億円のダイヤモンドが2個ほど売れています。しかしこれはとある百貨店を通しての販売ですが当然、国際市場で買うより高くついています。それは販売店の利益が入っているので当然のことです。しかし最終的に購入した消費者はもっと安く手に入れることは当然出来るのですが、その販売店がなければその情報も確認することも出来なかった訳ですから止むをえません。

 いつも言う事ですが金持ちよりダイヤモンドの方が明らかに少ないのです。もう一つ基本的な事ですが世界の金融でダイヤモンドが最初に担保になったものである事も覚えておいた方がよいでしょう。

2013年5月21日火曜日

ダイヤモンドの4Cとグレード!?

 『ダイヤモンドの価格は4Cで決まります』という言葉をよく聞きます。
確かにダイヤモンドの価値はカラット、カット、クラリティー、カラーといった内容で判断されますが。ここで勘違いも多く生まれます。

 確かに4つの仕分けで価値を決めますが価格はあくまでも市場が決めます。ここでの勘違いが価格を比べたり、値引きの引き金になったりといった買い方、売り方になるのだと思います。

 つまり、グレードというものは価値が決まった後に何故そのか価値になったのかを仕分けするものです。ましてや価格を決める物ではありません。なぜなら、そのグレード結果は鑑定機関三者三様なところもあり、時期によっても変わってくるからです。

 このような内容は再三再四述べていますが、未だに理解をしてくれない方達が業界には多くいます。価格は売り方や業態によって、または地域によって変わってきます。同環境の同条件が揃って初めてグレードというのは意味を成します。

 もっと言うなら同一性の近い物のないファンシーカットとかファンシ―カラーに関してはグレードで比べる対象がない訳で(一寸極論ですが)グレードで価格をうんぬんすることはあまり意味がない事です。

 日本の鑑定機関ではファンシーシェイプのグレード評価をすることはあまりありません。グレードを超え高らかに言う割には不都合なことは避けて通るという日本独特のご都合主義が余計にグレードに関する誤解を大きくするのでしょう。

 4Cイコールグレード評価ではない事をもっときっちりと説明をしなければ、今のダイヤモンドビジネスの部分ではビジネスそのものが難しくなっていく事でしょう。

 もうダイヤモンドは一つのジャンルで括る事が出来ない時代に入ったのだと思います。ジュエリーの材料としてのダイヤモンドと資産としてのダイヤモンドは明らかにビジネスの基準を変えています。

2013年5月20日月曜日

ときめき!?

 昨日、今話題のシルク・ド・ソレイユの『マイケル・ジャクソンワールドツアー』を横浜アリーナへ見に行ってきました。

 パフォーマンスも素晴らしく本当のM・Jのワールドツアーに参加をしていたミュージシャンの演奏も素晴らしかったと思います。

 ただ何か物足りなさを感じたのですね・・。

 それは多分ラスベガスや国内でもシルク・ド・ソレイユのショーを今までも何回か見てきてそのパフォーマンスが頭の中に有ったせいか、音楽中心であった今回のショーは別にシルク・ド・ソレイユじゃなくても良かったのではと思ったのです。

 シルク・ド・ソレイユと言えば超人的な体を使ったパフォーマンスが売りものですから、それを期待していた分だけ・・・という感じです。

 確かにパフォーマンスも素晴らしく一流のショーだとは思ったのですが『トキメキ』がなかったのです。

 先週の展示会での事、ある若い女性がジ―ッとダイヤモンドのルースの入ったケースを眺めていて言った一言を思い出します。
『ダイヤモンドを見ているとトキメキますね。』

 その時に話した内容は
『数々の色石を見てきて綺麗な色石は沢山あるし、その事は綺麗だとも思うし、良いなあとも思います。でもダイヤモンドにはその先のキラメキに対するトキメキが有るんですよね。』
 ということでした。

 その言葉が観賞しながら頭に浮かんできました。つまり、魅力というものはトキメキがあって初めて感じるもので、その事により無になれる。そのことこそが感動であり、スピリチュアルなのであろうと思い、さらにストレスの解消にもなるのであろうと思う次第です。

 ダイアモンドを見ていてストレスの発散になるという方も今まで何人も出会いました。それがダイヤモンドが本来、価値を持った原点なのかもしれません。

 『人の心の琴線』という言葉があります。琴線は環境やDNAによって育まれていくものですがその環境やDNAにプリントされる材料としてダイヤモンドのようなキラメキがあったのかもしれません。

 勿論、マイケル・ジャクソンをメインにいった方達には十分に堪能できたショーであった事は間違いありません。

2013年5月18日土曜日

株高とダイヤモンド!?

 アベノミクスの影響もあり、株高、円高が続いていることを懸念をしている向きもおおいにあると考えますが、私もその一人です。

 つまり、現代の株式市場というのは既にラスベガス状態にあると思っているのです。なぜなら金融市場は既に実体経済の枠組みをはるかに超えていると考えているからです。

 難しい話は別にして、本来経済というのは等価交換による物々交換が原則でのその交換の便宜上貨幣が存在をしているという原則があります。つまり、実態以上の金融が存在している事はそれ自体が異常な事な訳です。

 勿論、付加価値を前提とした投資や保険といった、あえて言うと余剰実体経済が存在するのが現代の経済です。

 100の価値に対して100の別の価値があり、その介在としての100の貨幣があるのが基本で、それは漁師が農民と其々の産物を交換し、それがその場で不釣り合いの場合その差額を貨幣で埋めるという原始的経済の始まりだと心得ています。その貨幣用立ての部分が金融な訳です。

 現在は実態以上の金融がそこにはあり、そこの中心にデリバティブが行われ実際には存在しない価値に対して貨幣が動いている訳で、その失敗がリーマンショックだった訳で、ふくらました外見に保険をかけたり、投資をしたりしていた訳です。

 現在の株式投資に関しては本来の投資ではなく、造られた価値に対しての投資であり、それはギャンブルそのものな訳です。現実に米国では1000分の1秒単位で株の売り買いをするソフトが多くのデイトレーダーの間で使われていると言います。

 つまり投資対象の会社が育つのを待っている訳ではなく、何時でも売り買いされるので設備投資などはなかなかその資本で行う事が出来ません。

 価値が100億だった物が50億になったと思ったら今度は150億になる訳ですから危なっかしくてという感があります。昔から株は千に三つと言って確率的にはほぼ儲ける事が出来ません。出来るとしたら資金豊富な人が永く一つの投資対象に対して保ち続ける以外はありません。それでも難しいかもしれません。勿論、運についている人間が売り逃げをして儲ける事もあるでしょうが、前述のようにあらゆる手段を講じての事ですから一般の投資家はまず無理です。

 そこでです。実体の伴って間違いのない投資対象はという事になるとある条件下のダイヤモンドという事になります。昨今のオークションでは高値連続です。物があり、相場が経ち、自分でコントロールでき、何より供給が需要を超える事はありません。なんせとてつもなく限りある資源で金持ちよりある条件下のダイヤモンドは少ないのですから。

 皆さん真剣に考えてみませんか?

2013年5月9日木曜日

ダイヤモンドへの投資!?

 昨夜、久しぶりに取引所仲間の友人と食事をしましたが、その際に最近オークションへの大きなダイアモンドの出品が増えてきた事が話題になりました。

 ここのところサザビーやクリスティーにおけるファンシ―カラーダイヤモンドや大きめな石の落札価格が上昇をしているのは確かであり、以前はこれほどの出品数があっただろうか、という事は確かに気になります。

 最近の出品内容を見ても大粒の出品は100~200点に及びます。ここ数年3ct~5ctのところの最上級品に関しては2~3倍の価格上昇(ドルベース)をしておりましたが、10ctアップに関してはあまり動きがありませんでした。それは市場に数も少なく売りに出すものも少なかったので相場が立たなかったという事でもあります。

 しかし、昨今のオークションへの出品数は、今までダイヤモンドに逃げていたお金が他に動くべく、ダイヤモンドの放出が始まったのだろうかとさえ勘繰りたくなるような多さです。しかし、その割には価格の上昇を招いているのでこれもまた理解に苦しみます。

 『今後はこんなに出てくるとダイヤモンドの価格はどうなるんですかねェ。』

 投資を前提として考えるのであれば、答えはイエスであろうという事から話が展開をし、

『以前と違うのはシンジケート等のコントロールの影響が小さくなり、市場の原理がはたらいている。現在では等しての市場がもっと注目を集めるようになるかもしれないね』
と答えると

 『これだけどんどん出てきてもやはりそう考えるべきですかね?』
と質問

『大きな物が目に触れるようになってきてはいるけれど、埋蔵量が枯渇に向かっている事は事実だからね』

 以前とは違う市場が出来つつある事は感じるところでありますがそれがどのような形になるのかはここ一、二年の事だろうと思います。それはもっと一般の人々にオークションや投資の実態が伝わるようになると後は業界の人々がその事に対応が出来るかどうかだと考えます。

 つまり、ジュエリーとしてのダイヤモンドと投資用のダイヤモンドとは明らかに扱いが変わるであろうし、普通の業者が投資用に対応する事はほとんど不可能ですが、それらとの価格差で不都合が出てくることも事実です。そのうえでの商売は極めて難しくなるでしょう。

 現実に私の先輩で我が国のダイヤモンド業界での先駆者である人が投資用にダイヤモンドを専門に始まられた事も、シンジケートの価格コントロールがほぼ壊滅し、GIAのグレーディング能力が進歩したことが大きな要因であると言っておられました。

 飲みながらのダイヤモンド談義はアッというまで久しぶりにダイヤモンドを堪能したような気がしました。まだまだ夢はあります。    ダイヤモンドには・・・・。

2013年5月8日水曜日

ダイヤモンドのそもそも!?

 ダイヤモンドの価値の考え方については今までも色々と述べて来ましたが、販売員の多くがダイヤモンドを進める時に4Cのグレードを使って説明をする事が多くあります。しかし、単純に4Cを理解したとしても、何故に小さくて実用性のない物が何十万も何百万もの価格になるのかという事についての説明はほとんどされる事がありません。

 実は昨日お客様に指摘をされた
『4Cのグレードの説明を何処でも受けてきて、価格に違いについては理解をしたのですが
 だけど、何故にこんなに高いのかという事には理解のできる説明が無かったんですよ』
ということでありました。

 『なるほど、それでは一緒に考えながらご説明しましょう』

とダイヤモンドの採掘状況や流通量、宝石の条件を含めて色々と一問一答の形で話をしました。

 『なるほどそれなら価格が高い事も理解できますね。ただ、何故に価値があるのですか?
 何の利用方法もないのに・・。』

とまともな疑問をぶつけられ、一寸当惑しましたが

『価値というのは各々にとっての価値あるものと、広く一般的に価値のある物がありますが、
 前者は多くの場合価格に置き換えられないものもありますが、後者は換金が前提と
 なっている物という事になると思います。』

『ダイヤモンドはどちらになるのですか?』

『そこがダイヤモンドの理解しにくい部分でもあると思いますが、結論から言うと後者です。しかし
婚約指輪や遺品のように前者の要件も満たす場合があるのです。ゆえに誤解がされやすいのだと思います』

『つまり、換金性がある事が前提になっているので小さくて実用性がないようでも単価は高いのです。但し、価格の違いを述べている訳ではありませんが最低限タダではない再利用が何度でも出来る材料であるという事です。その上で大きなサイズになればより希少性が故の換金性が増します。』

 『なるほど、綺麗でより多くの人が好む物の割には採れる量が少なくてという事で元々が値の高い材料だという事ですね。さらに希少性が高くなればより価値が増し、結果何らかの資産にもなるという事ですね。』

『そうですね。市場原理の申し子のような存在がダイヤモンドなんです。つまり誰もが興味をもたねければ何の価値も価格も上がってきませんが市場が価格をつける以上はその価値があるという事になるんですね。』

 『なるほど。』

『ただ、何故人々がダイヤモンドにそれほどの魅力を感じるのかは、人それぞれだと思います。
 単純に綺麗だから、人に自慢がしたいから、資産の運用に使いたいから、そして自己満足をしたいから・・と過去にも色々いましたが、一番は光の魅力と言っていた人が一番多かったと思います。』

 ダイヤモンドはそもそも何故価値があるのかという事を説明するつもりではなく、何故価値を見出されたのかをお話しするつもりだったのですが、『イセエビはなぜ高いのか?』といったような説明になり、ふと振り返るとそもそも論とは美味しいから綺麗だからといった単純な感覚の世界に市場原理が働くだけなのでしょう。

2013年5月4日土曜日

ユダヤ人のダイヤモンド歴その2!?

 前回はユダヤ人が何故ダイヤモンドに関わったかという事ですが、今回はもっと近代で皆さんが知っているシンジケートを中心に話を進めます。

 18世紀に入り、ポルトガルも財政も底をつく頃になると王族たちはロスチャイルド家などのユダヤ人高利貸しより資金を借り入れする事が多くなり、ユダヤ人高利貸したちはダイヤモンド担保に取り始めます。それが近代のダイヤモンド資産化の始まりではないかと思っています。

 19世紀に入り、ブラジルのダイヤモンドが底をつき始めると、南アフリカでダイヤモンドが発見されます。もともと大英帝国領であった南アフリカにはイギリスから渡った二人のイギリス人バニーバナートとセシルローズなる人物が歴史に現れて来ます。ダイヤモンドを生業にする人間であれば勿論知っている名前だと思いますので詳しくは其々で・・・。

 この二人の争いに幕引きをしたのがロスチャイルド家でした。ロスチャイルドはユダヤ人のバナートではなく、ローズの方につき資金援助をします。これが決定的になって1881年に設立されたデビアス鉱山会社が世に出て来ます。当時のローズは南アフリカ評議会の議員でもあり、英国王室に近い立場にあったと思われます。その為にロスチャイルドは割り切っての決断だと思われます。

 その後運営がおもわしくなくなってきた時にアーネスト・オッペンハイマーなる人物が現れます。金鉱山の中心にアングロアメリカン社を立ち上げたアーネストは1927年ローズ亡きデビアス社を傘下に収めます。そこからは皆さんがご存じのシンジケートの妄想が始まります。

 しかし、ユダヤ人であったアーネスト・オッペンハイマーは改宗しキリスト教徒になっており、実際に皆が思っているシンジケートはユダヤ資本ではなくキリスト教系だといえます。その後はシンジケートの支配が永い間続きますが、この間にも多くのユダヤ人はシンジケートに反目しながらでもダイヤモンドビジネスを続けていきます。

 シンジケートのサイトホルダーの多くはやはりユダヤ人であったし、そのユダヤ人達もいつもシンジケートに属さない原石を模索しておりました。1990年頃になると状況は変わり。シンジケートの時代は終わりを告げることになります。

 状況、システムは変わってもユダヤ人がダイヤモンドのビジネスの中心にいた事は事実で、恵まれない環境の中から扱わざるを得なくなって現代に至るのですが・・・お解りいただけたでしょうか?

 勿論歴史的背景から私自身が想像したことや見聞きしたことを中心に書きましたが、細かくはしょっていますので大体こんなところと理解をしてください。もっと、詳しくとなると歴史学者に任せなければ難しいかなとも思いますので、取り合えずは経験の中から知ったことだけです。

2013年5月1日水曜日

ユダヤ人のダイヤモンド歴!?

 ダイヤモンドを永く取扱い、イスラエルに三十数年通っていると、必ず聞かれるのがダイヤモンドは何故ユダヤ人なのか?・・・という事であります。

 以前にもこの話のきっかけとなったユダヤ人友人の父親からの話をかるく描きましたが、5月に入りGW中という事もあり、時間に余裕のある時に簡単に述べてみたいと思いますが、細かい事を書くと長くなるのでそこそこにしますけど。

 ユダヤ人は皆さんもご存じのとおり2000年前ほどにディアスボラ(離散)という事で国を失い世界中に離散をしていったという大雑把な事はご存じだと思います。それはキリスト教徒からの迫害という形で記憶をしている事が多いのかなと思います。

 しかし、現実にはキリスト誕生以前からその特殊性の上ゆえにユダヤ教徒達は迫害を受けていた歴史もあります。しかし、その特殊性ゆえに、それを利用にしていた権力者たちもおり、カエサルを始め、アウグストゥウス、アレキサンダー大王などもユダヤ教徒達の特性を利用する為に重用しておりました。それゆえディアスボラの前から世界各地にユダヤ人達は根ざしていたといえます。

 勿論その特殊性ゆえに嫌われ、迫害も受けていたのは歴史で繰り返し、それゆえに後のナチスの迫害、人種浄化の理由にもなったのでしょう。

 さてと近年に近づいてですが、世界中に広がっていたユダヤコミュニティーはシルクロードに沿った国々に勿論のこと存在をしており、インドと西欧との貿易にも多く関与をしていたのです。それゆえにインドで紀元前から発見をされていたダイヤモンドにも関わっていた事は想像がつきます。

 しかし、ヴェネチアの商人達が活躍する十二世紀頃になるとキリスト教徒の十字軍などによりユダヤ商人たちは東西貿易からどんどん排除され、迫害を受け始めます。その後当り前の職業につけないユダヤ人達は高利貸しなどの卑しいといわれる職業に就かざるを得なくなっていきます。ここに一つのポイントがあります。

 その後大航海時代(十五世紀頃)の幕開けと共にポルトガルの改宗をしていたユダヤ人達がブラジルに多く渡っていきます。

 その頃はヨーロッパ各地で迫害を受けていたユダヤ人達は比較的差別もなく、当時の商業の中心になっていたアントワープやアムステルダムを目指します。その後インドのダイヤモンドが枯渇する頃になると当時のポルトガル領であったブラジルで大量のダイヤモンドが発見されます。

 当時、ギルドに参加を出来なかったユダヤ人達はそれに所属をしないダイヤモンドの研磨職人という職業に従事する者が多くおりました。十七世紀のこの頃に現代のダイヤモンドの研磨に近い物が存在を始めます。勿論その前から簡単な研磨技術は開発されておりましたが・・・。

 ブラジルで発見されたダイヤモンドは改宗ユダヤ人達により、本来の同胞であるアムステルダムのユダヤ人達にどんどん送り出されるようになると、それまで中心であったアントワープを抜いてアムステルダムがダイヤモンドの研磨の中心となり、ギルドの規制のかからないユダヤ人達の力が増していくようになります。ここがもう一つのポイントです。

 長くなるのでこの続きは次回・・・。近代のダイヤモンドビジネスの目覚めです。