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2011年3月9日水曜日

キッカケ

 最近気になっているCMがあります。BGMにエンゲルト・フンパーディンクの
“クワンド・クワンド・クワンド”が流れています。

自動車のCMソングとして流れてきたのは1960.70年代に活躍したプレスリー
やトムジョーンズと並び賞されれたイギリスのポップス歌手のフンパーディンク
の曲でした。

1970年代アメリカに渡っていた私は決して裕福ではなかったのですが当時
在住をしていたロサンジェルスでは移動手段として車は欠かせません。

渡米直後に私が手にした車はフィアットの124型、当時$900で手に入れた
もので至極シンプル、故障個所を見つけるにはケーブルをたどっていけば解る
といった程度のものでした。

私の愛すべきこの車は小さくて、車輪とハンドル、ブレーキ、アクセルが付い
ているだけの車で、唯一贅沢品と言えばカセットデッキが付いているという位
でしたが勿論テープは持っていませんでしたので、なんだかな~・・といった
感じでした。

ある時、車を持って行動範囲も広がったこともありサンセットブルバードを走っ
ておりました。空は青空、広い道、カリフォルニアを十分に堪能しながらドライブ
をしておりましたが残念なのはそこに音楽がないことでした。

しばらくドライブをしていると黄色に赤い文字の建物を見つけ、そこに『Tower
Record』と書いた看板を見つけました。早速、駐車場に車を止めて店内に入る、
中には整然と並んだレコード盤を中心にカセットテープも沢山置いてありました。
そうです、ここが今では有名なタワーレコードの一号店です。

$7.8を中心に並んだレコードやカセットを見ながら(高いなあ~)と思いながら
も何とかわが愛車にカセットデッキを使いたくて店内をウロウロしていると小さな
ワゴンの中に$2、50と書いた紙っぺらとカセットテープがいくつか転がって入っ
ていました。

値段だけを見て手に取ったテープには『Engelbert Humperdink』と渡米したばかり
の私には読み取りにくいスペルの並んだカセットでしたが、取り合えず手にとって
見てみるとブルーの色したカリフォルニアらしいカセットだと思い、(何でもいいから
聞いてみよう)と思い、そのテープを購入しました。

カセットを愛車のデッキに差し込み流れてくる音楽を聴きながらドライブしていると
それはもう南カリフォルニアそのものでした。それからというものうれしくてしょっちゅう
ドライブに出かけておりましたがいつも流れてくる音楽は一緒でした。

今CMから流れてくる曲はその時によく聴いていた曲で、それを聞くたびにその
時代に呼び戻されます。聞いている間は全く南カリフォルニアをドライブしている
気分にさせられます。

聞いたり、見たりする事の印象が強ければ強いほどその時代を思い出しますが、
婚約指輪や結婚指輪はその時を堪能する訳ではなくて時代をいくつか過ぎて、
改めて見た時にその思い出を懐古するものだと私の友人が言っていたことがあり
ますが、曲は記憶に残り、景色は脳裏に残ります。

思い出深い物や曲は時代を超えて記憶を呼び戻してくれます。特に物は実際に
手元に残り、思い出を呼び戻してくれるキッカケになります。曲はその人のみの物
ですが、物は壊れない限り由縁のある方全てに残ります。

そうです。やはりダイアモンドは良いですね。ズーっと残り、思い出を運ぶだけで
はなく持っていた人の物語を歴史を超えて運んでくれます。

さあっ、今日もあのCM音楽を聴きながらカリフォルニアの青い空を思い出そう。
楽しみが一つ増えました。

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