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2018年3月7日水曜日

ジュエリーの精度⁉

 今回の香港のジュエリーショーでは気になったことがいくつかあり、一つにはファンシーカラーダイヤモンドの増量というべきか、いつになく多量のファンシーカラーのものが出展されていました。過去の経験からすると目に多く止まったものに関してはそのあとにくる価格の問題があります。

 ただし、現在は採掘技術も上がり以前と比べて効率よく採掘が出来るようになったためにその結果として多くのファンシーカラーが増えたという事でしょう。しかし絶対量が増えているわけではないのでいずれその限界も来るのだろうと思いますが、一旦は価格の下落につながるような気もします。

 もう一つはジュエリーに関してですが、CADや3Dプリンターの進化のおかげで色々なデザインが出てきているジュエリーですが、やはり感じるのはその精度です。大方のデザインは創る事が出来るのですが、基本的にはキャストで作る範囲ですから、まず強度の問題と細かい作りの問題点があり、とても精度の高いジュエリーには見えません。

 考え方として古いと言われることがあるのですが、実際にはジュエリーに関してはそれらの機器を利用してジュエリーを創る時代は私からするとむしろ終わったと感じています。大量生産や短期仕上げといったメリットもあることは解ります。まして、低コストになることは十分に理解していますが、強度の問題や細かいところの妙技といったところが今の時代にあっているのだろうと考えています。

 高額時計が売れていますがその時計がそうですがその手造りの巧妙さや少量生産というものが消費者の心を揺さぶっているのではないでしょうか? 確かに高価になることは事実です。しかし、これら高額品は本来裕福な層に向けられるものです。

 日本のバブルを象徴するように多くの民衆が潤っていた頃には大量生産のなんちゃってを多く供給することは必要不可欠の環境だったのでしょう。しかし、現在においては状況がかなり違います。富裕層は相変わらず富裕であり彼らの求めるものはやはり本物です。

 ジュエリーの精度というと若い世代にはわかりにくいのかもしれませんが、過去の技術や精度を見てきた方たちには理解がしやすいかもしれません。リサイクルジュエリーが華やかな7~8年前ほどにはバブルの頃に販売された物が多くリサイクルされましたが、その中にはバブルの頃に大量生産されたものに混じり、さらにその前に制作をされた目を見張るような造りのものが有ったものでした。

 永く継続をしていくジュエリーの性質上本来の造りは欠かせないものです。今回の香港ショーで見た制作機械の進化はそれに逆行する動きのように見えました。日本でも老舗といわれるところは伝統的な創りを守るために進化をしていくことが有っても、創り方そのものを変えていくところはありません。ジュエリーを製造する機器の進化はジュエリーを退化させるような気がします。
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