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2016年3月11日金曜日

繋ぐこと⁉

 5年前の午後3時前 突然の大揺れで驚いていると店内の方から大きな音が聞こえました。
『ガシャーン‼』
 揺れを気にしながら事務所から店頭に出てみるともろくも砕け散ったブルーのお皿の破片が散らばっていました。

 まだ揺れの続いている中で落胆とも、腹ただしさとも違う感情が沸き上がってきました。しかし、その揺れはその感情をも、集中できないようなもので、慌てて外に出てみると電柱が揺れ、電線がたわんでおりました。

 東日本大震災は5年経った今でも私たちの胸に呼び起こすものがあります。被災された方達に対する思いは勿論の事ですが、私個人の中にも無念な思いがあります。

 ショーケースから飛び出し、割れていたものは100数十年前にロマノフ王朝のお抱え宝飾商でもあった『ファヴェルジェ』の製作した絵皿でした。手に入れ感動した私は皆さんにも見て頂こうとして店頭中心部のハイケースに展示をしていたものですが、なぜかそのハイケースの扉だけ空いていた様なのです。

 割れてしまった絵皿そのものは仕方がないのですが、本来であれば責任をもって保管し後世にまで伝えなければならない立場にいた自身に怒りと情けなさを覚えたのです。

 優れた物を後世に伝えるにしても色々なものがありますが、割れやすかったり、摩耗しそうなものに関しては管理するものが細心の気を配らなければなりません。また一方で耐久性が高く、保管さえきちっとしておけば何百年、何千年と世の残っていくものもあります。

 私は最近、過去の想いを形にしたくてヴィンテージジュエリーを取り扱い始めました。時代に関係なく良い造りをし、良い材料を使ったものは耐久性も高く、その時代を後世に伝えるべく役割を十分担う事が出来るものなのでその思いを伝えようと思っているのです。

 ダイヤモンドのビジネスを行ってきた訳ですが、ダイヤモンドそのものは時を超えることは周知の事実です。しかし、それを身につけながら継承をしていくには現在の造りは十分ではありません。多くの優秀な職人を失っていったのも事実ですが、現在では技術も進みCADなどでの製作がご殆どです。勿論そのほとんどが鋳造になりますから、手作りで行われていたいわゆる鍛造とは強度がおのずから違ってきます。

 現在では価格を追ったものがほとんどのために容易な製造方法が使われている事は一部仕方がないとは思っていますが、やはり自身が業界に入った頃の技術を消費者の方々にも見て頂きたいとの思いから、ヴィンテージの取り扱いを始めたのです。

 消費者の方達にもその魅力と価値が十分に伝わるのか評判も上々で、伝わること、その事がうれしくてたまりません。ジュエリーとはその時代を反映し時代を繋いでいくものでもあります。扱っている自分たちがそれを無視していては業界の発展もありません。

 今後も一つの基準を造りながら繋いでいくことに尽力出来れば良いかなとも思っています。あれから5年、3月11日をいかに風化せずに繋いでいくか大きな課題でもありますが、日本人其々が考えていかなければならないことのなのでしょう。http://ameblo.jp/diamonrow

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