ページビューの合計

2014年2月21日金曜日

CVDダイアモンドと処理石!?

 先日、海外の業者からCVD(Chemical Vapor deposition)を扱ってみないかという問いがあり、勿論そくざに御断りをしました。つまり,人造のダイヤモンドですが昨年もこの事に触れましたがGIAでは2007年に確認をしたと言っておりましたが、既に市場には私の記憶ですと1990年代半ばには米国で流通をしておりました。

 同じく、普段の発言から色石に対してネガティブな考えを持っている様に思われがちですが、それも違います。

 基本的な考え方の中に宝石の条件、美観性、希少性、耐久性、携帯性、換金性ということが頭の中にある訳です。

 1980年代初めにバンコク等でサファイアやルビーの買付を行っていた時に、たまたまあるヨーロッパのブランドのバイヤーと一緒になりました。彼の行動を見ていると多くの商品をスル―しており、お気に入りがないのかなぁ・・位に思っておりました。

 夕食を共にする事になり、その時にその事を聞くと彼は
『うちのブランドは既に200年以上存在し、今後も数百年続く事になるから処理をした色石は扱えないんだよね。まだ技術的には未知数で数十年で色が変わるかもしれない物は扱えないからね』
と話し始めました。

 確かに色石によっては数年で色のさめてくる物もある事も事実だし、何より希少性という面で矛盾が出てくると考えた事を覚えております。その後エメラルドの買付を行っていたコロンビアでも同じような経験をしました。

 つまり、処理をしていない色石に関しては美しい物も多いし、どちらかというと好きだと思いますが数も少なく実際には宝石としての価値も高いと思います。しかし、処理石を排除した瞬間からビジネスも成り立たないという事になりますが、それは業者側からの理屈である訳です。

 CVDに関しては1970年代にはGEにより発表もされており、実際には看破方法も発表されることなく流通していた可能性もあると言われております。

 勿論、両方ともディスクローズを前提に販売する事は問題ないと思いますし、価格によっては問題になる事ではないと思います。但し、自分自身は、宝石として販売する事に抵抗が少しあるという事です。

 一般的には販売方法として処理石という事を前面に押し出しては説明をしていないように思いますし、処理のルビーに対してさえ『ピジョンブラッド』なる表現を使ったりもしています。それはいかにも希少石であるといった演出になるので表示法違反に取られかねない販売方法である訳です。

 両者に共通している事は希少性という宝石の条件に当てはまらない行為である訳ですが、一つ違う事は処理石の場合ベースとなる石の存在が必要であるという事と処理後の正確な結果が解らないという事です。しかし、CVDに関しては工業製品ですから将来的に大量生産が行われる可能性があるという事になります。

 勿論、製造のし過ぎは本来の価値を失う事になるので意味がなくなるとは思いますが・・・。

 本来の宝石を扱う事を考えるとニッチな市場になり、大きなビジネスになりにくいという事にもなる訳です。ダイヤモンドを中心に扱うという意味はそういう事ですし、ブログのタイトルからもダイヤモンドを中心に述べるので誤解も招くのかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿