イスラエルワインの本格的な幕開けは建国後の1983年設立のゴラン・ハイツ・ワイナリーのワイン造りでしょう。米国のカリフォルニアから導入されたカベルネ・ソーヴィニオンなどのボルドー品種の栽培醸造技術は世界中から注目されることとなり、その後90年代に入るとゴラン高原以外の各地でもブドウ栽培や醸造が行われ、現在ではブティックワイナリーを含む300を超えるワイナリーが存在しています。
現在では多くの国際コンクールで受賞をするイスラエルワインは少しづつ我が日本でも販売をされるようになりましたが、世界に比べてまだまだ知名度が低いのも事実です。
私自身がイスラエルワインの評価をすることはおこがましいのですが、一番の魅力はその物語でしょう。現代のボルドー品種に加えアラブ軍の攻撃で根こそぎ抜かれた古代品種を現代のイスラエルの最先端技術により発見された種のDNAを培養し現代に再現させたワインの醸造などが行われているという事でしょう。
あのダビデ王やイエス・キリストが飲んでいたであろうワインが現代に蘇っているのです。それは聖書の中だけではなく、ダ・ヴィンチの描く絵画の世界の中にも現代の我々が浸れる瞬間でもあるわけです。
古の時代へ想いを馳せながら味わうワインは他国のワインとはまた別の意味合いがあり、ワインの味わい方の一つであると考えるわけです。つまり、古代品種に関わらずイスラエルワインの特徴は聖書の世界と最新技術の融合する現代のワインともいえるわけです。
私自身は新世界のジャンルに仕分けされるイスラエルワインは本来であれば旧世界のジャンルに入るものだと考えますが、フランスやイタリアなどの旧世界のワインに比べ環境や伝統・経験を生かしているというよりもユダヤ人の持つ最新テクノロジーを生かしているという意味では米国やオーストラリアなどと同様の新世界に仕分けされることはやむを得ないのかとも思います。
イスラエルワインの発展に寄与しているのは多くの場合前回に記したエドモンド・ロートシルト男爵(ラフィット・ロートシルトのオーナー)などのように世界的に有名なフランスなどのワイナリーのオーナーがユダヤ人であるという事も大いに関係しているでしょう。
因みにロートシルトは英語読みではロスチャイルドと読み皆さんがよく知っているユダヤ人の名前になります。その後も多くのユダヤ人のワイン造り手が世界中からイスラエルに戻りその発展に寄与したことは想像に難くないでしょう。
現在では1882年い設立されたロートシルトの『カーメル』とゴラン・ハイツ・ワイナリーを2大ワイナリーと言っても良いでしょうが、それに続くワイナリーが続々と現れて今では多くのブティックワイナリーも世界中のワインコンテストで金賞などを多く受賞していますのでとても飲みごたえのあるワインが多くあります。
ぜひ皆さんも一度は試してみてください。
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