最近、ある展示会にダイアモンドでレッドとブラウンのパートカラーの物を出品し、
如何に珍しいものかを説いてみてある事に気がつきました。
気がついたというより我自身よくこれまでそんな当り前の事に気がつかないで来た
と、あきれるやら嘆かわしいやらです。
あるお客様が『ダイアモンドの事は名前くらいしか知らないし、見た事もなかった』と
言われた時に、私自身が皆がダイアモンドを見た事がある事を前提にビジネスを
してきたので唖然としました。
それを聞いて(そっかア・・。赤いダイアモンドがある事を知らない人にそれが稀で
ある事を説明しても、前提として興味も経験もなければその事に感心する事もない
んだ)考え込んでしまいました。
前提がなければ何の条件、結果も存在も意味がないんだ・・。と思いつつほとんどの
宝石商は自らの知識や経験を前提に商売をしているのでお客様に必ずしも宝石の
価値や魅力を伝えれていないのではないかと考えました。
つまり、前提をお客様に持って頂かない限りは商売は『のれんに腕押し』状態な訳
です。確かに、同じ宝石業界にいるのだから解っているだろうと話した事がチンプン
カンプンなことが業界内でもあります。
4Cグレーディングが価格を決めると未だに思っている人も多くいる事でも解るように
自らも理解していない事を前提に宝石の価値等を伝える事はいまや無理であり、
以前のようにお客様にお金があまっていない限りその上で商売をする事は難しいの
ではないだろうか。
宝石は贅沢な装飾品であるということのみが前提になっている現代では商売は難し
く、本来の価値や意味を消費者・・、もっと言えば販売員に理解してもらわなければ
今後も経済環境に関係なく難しくなるのでしょう。
簡単な事ですが、相手にこちらの伝えようとする事の前提をまず理解してもらうと
いった当り前の事をやらなければいけない。当り前のことですよね。
外国人に真意を伝えようとするにはその国の言葉を覚えるか、日本語を覚えてもら
うか、通訳を雇わなければいけないのと一緒ですね。
『何カラットがいくら』といった事をいくら叫んでみてもそれが何たるかを理解していな
い人には何にも意味がない。
以前は『1カラットのダイアモンド』は金持ちの象徴でいつかは手に入れたいと多くの
人が思っていました。だから何カラットがいくらというフレーズが役に立ちましたが
今の若者達にはその存在も意味を持たないようです。
啓蒙活動があって初めて次の行動の意味が出てきます。当り前の事ですよね。
『見た事もなかった』お客様にいくらダイアモンドの色の希少性を説いても何の心にも
響きません。その言葉に『なるほどね』
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