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2013年12月29日日曜日

今年のダイヤモンド!?

 今年はサザビーにしてもクリスティーにしても歴史的に残るような結果を出しています。特にダイヤモンドに関しては1CT当たりの価格のレコードを更新し続けました。

 最近では11月のジュネーブでのクリスティーのオークションでは14.82ct、VS-1、fancy vivid orangeのペアシェイプが約$240万/ct、つまりトータル$3554万(36億円)で落札されたり、同じくサザビーでは59.60ct、Internally Flawless、Fancy vivid Pink でタイプⅡのオーバルカットのものが約$140万/ct、トータル約$8320万(84億円)で決まったり、この夏には5.3ctのブルーダイヤモンドが約9億5千万で落札されたりと記録づくめな1年でした。

 勿論その背景には経済状況があり、お金の行き場所としての様相が多くみられ、リーマン以降の金相場等にも見られるように金融商品への不信感も反映していると考えられます。つまり、お金の余っているところが沢山あり、それで手に入れたものがさらに値上がりし、さらに貯まるといった状況です。

 それでは、一般的にダイヤモンドにもそれが言えるかというイコールでは必ずしもないと言っておきましょう。勿論値上がりしている部分と硬直状態が続いている部分があり、一般的な市場に供給される物はやはり経済状況の反映が多くありますので必ずしもという事になる訳です。

 前回にも書きましたがダイヤモンドビジネスには色々な視点があるという一部ですが、本来に希少性が前提となる部分においては大きなダイヤモンドや珍しいダイヤモンドはこのような経済状況の時には価格が上がりやすいと言えますし、オークションという公な部分での価格設定がそれに拍車をかけています。

 勿論、希少性が前提といっても他の絵画や芸術品と違って耐久性が前提にありますので、保管がしやすく、後年になってもそのままで存在が出来、さらに記録としての価格が存在しますからオークション等に掛かるダイヤモンドは価格が下がる可能性は極めて低い訳です。

 但し、お金があるから手に入るというものではありません。そのダイヤモンドに出会う幸運があり、さらにその情報を提供してくれるルートがあるかどうかというのも大きな要因になります。オークションで取り上げられた時点では既に遅いという事もあります。余分な資金が必要になりますから。

 前述したダイヤモンド等も最近発見されたものでは必ずしもありません。どこかに存在し、今が売りどころと考えたオーナーが出したものか、事情があり出展された物というふうに考えられます。

 5.3ctのブルーダイヤモンドに関しても私が提示されていた金額は約一億円ほど下の価格でした。勿論そんな余裕も市場もありませんからそれを見るだけでしたが、日本に市場にいては買う事ができる人がいるであろうという事で問い合わせがあったものです。

 なぜなら、今年は結構日本人が買った大物が多く、海外の業者達はそれをよく知っている訳です。それゆえのコンタクトだったんですがそこまでの力は私にはありませんでした。来年も日本人が手に入れる大物が出てくるような予感がします。

 財産投資としての視点もダイヤモンドビジネスにおいては必要な事なのです。その事に関して特に今年は顕著な年と言えるのでしょう。今年のダイヤモンドは金融の象徴となったと言えるでしょう。

 来年も多くのブログ更新ができるように頑張りたいと思います。今年一年の御購読ありがとうございました。

ダイヤモンドへの視点!?

 今年も押し迫り、色々な事があった様な気もします。特にダイヤモンドは大きな岐路に立っているような気もします。

 ダイヤモンドの小売りに携わるようになって2,3年が経ちますが、今年はダイヤモンドのビジネスとは色々な視点があると感じるような一年でした。

 消費者でダイヤモンドに興味のある人は幾種類かに分ける事が出来ることも残念な事に最近気が付き始めました。

 キラキラととにかく光るダイヤモンドが好きという人と、ダイヤモンドのジュエリーが好きという人、
ファンシ―カラーのように誰も持っていないものを探し求める人、そして何より周りに一番多いのがダイヤモンドそのものの魅力にはまっている人とダイヤモンドに対する視点が各々違うのですが、一般的にはその違いが無視され販売をされることが多いような気がします。

 ブライダルに関してもダイヤモンドにこだわりがある訳ではないし、ダイヤモンドというよりブランドが欲しいという人も多くいます。其々の価値観があって良いのですがダイヤモンドのビジネスに携わる物としてはダイヤモンドを理解した上で手に入れてほしいと思ってしまいます。ブランドだからダイヤモンドが綺麗とか造りの良い物があるという訳ではありません。

 一方販売する側にも小売り、卸、輸入バイヤー、ディーラーとどのレベルで従事しているかでダイヤモンドへの視点が変わってきます。私はダイアモンドのディーラーとして携わってきましたが、バイヤーとの違いは原石取引や輸出代行等を多くの仕事としてきましたが、バイヤーは注文や自社の在庫を買う事が主な業務になります。

つまり、ダイヤモンドのビジネスと言っても三者三様でどの位置で携わるかで、ダイヤモンドに対する視点が変わるのは販売側、購入側どちらにおいても起きることだとつくづく感じました。

 私は展示会等においても店頭においても裸石で販売をする事が90%以上なので製品になったものを売る事は苦手な方です。また、デザインで選ばれたお客様は飽きることが多いような気がしますが、ダイヤモンドそのもので選び加工をしたお客様はダイヤモンドそのものが好きでお選びになっているのでデザインにはあまり固執しないような気がします。勿論、裸石をそのままお持ちになる方も多くいられます。

 そのスタイルによってはまだまだダイヤモンドビジネスといっても細分化される物という事を感じますし、以前にも書きましたが新たなダイヤモンドビジネスの夜明けが近いという感じもします。

2013年12月24日火曜日

300回!?


 ブログを書き始めてから早300回目となりました。最初は単なる自らのダイヤモンドと共に歩んできた、知識や経験を日記的に書き留めておこうと思っていた事がここまで書いてきました。

 まだまだ、ダイヤモンドを理解して頂くためや少しでも皆の周りにダイヤモンドが存在し、何らかの人生の役に立つものである事を理解してもらえるように書き続けたいと思っています。

 先日、ある百貨店の商品部の方とお話しをする機会があり、ダイヤモンドの話になり

『私どもの百貨店は色はHカラー以上、クラリティーはSI以上、カットはグッド以上という事に
 なっているんですよ』
『何故ですか?』
と小生が尋ねると

『百貨店はトラブルを嫌いますので、トラブルを起こしそうなグレードは避ける必要があるのです』

傍らにいた知人が
『髙木さんのところではほとんどレポートを付ける事はないんですよ』

というと
『それで売れるんですか?』

『それこそ、後でのトラブルにならないようにダイヤモンドに対する情報をなるべく多く示して
お客様に選んで頂くようにしています。4Cだけの説明ですと後々トラブルのもとですからね。』

 『えっ、そうなんですか?』

先日、他のデパートで十年前に販売した2ctのダイヤモンドが再鑑定に結果グレードが変わり、
トラブルになった話をすると、
『そうなんですよね。グレード違いはたまにあるんですよね。』
と了解はしているとの事。

 つまり、色々な意味でグレードは絶対的なものではないという事を説明しておけば問題が起きない事がらな訳です。

『髙木さんはどの様に説明をしているんですか?』

『難しくはありません。肉眼で綺麗であれば予算の中で一番大きなサイズを購入する事ですよ。・・と説明をするだけです。4Cだけですとお客様が理解をするには難し過ぎますし、それしか判断材料がなければ他と比べて歩くことになりますし、比べて歩いても意味がない事を続けて、やがて面倒になって何でもいいやという事になり、取りあえずブランド物にでもしておこうという事になります。』

『なるほど、そうすれば選び方が違ってくるという事ですね・・』

 ダイヤモンドの価値を説明する事は本当に難しいのかもしれません。不変性説明をしてもその単位は億年ということになりますし、希少性といっても想像を超えた率になります。特に大粒はお金があるからと言って手に入る訳ではないし、ブルーやピンクなども人生で一度も目にする事もなく終える人がほとんどな訳です。

 その感覚を理解をするには人間の人生は短すぎるし、狭すぎます。価値を理解してもらうには余程の説明が必要になります。ダイヤモンドが一代、二代で使う訳ではない事を理解してもらう訳です。


 しかし、その価値観はヨーロッパでは根付いていますので、日本にもそれが根付かない訳はありません。そうなれば日本のダイヤモンドビジネスも変わってくるでしょう。

 来年からも書き続けて是非皆さんにダイヤモンドの事を少しでも理解して頂きたく思っています。

忘れていました。

Merry Chritmas!!

今年もまだ終わってはいません。

2013年12月18日水曜日

ダイヤモンドの中心!?

 ダイヤモンドの歴史が古い事は多くの人が知っていますが、実質的現代マーケットに近づいたのはまだ、600年ほどしか経ってはいない訳です。ダイヤモンドの近代的カットは14世紀頃に現在のベルギー・オランダを中心に広がってきたものです。

 紀元前600年頃にインドでダイヤモンドが発見されてからは原石そのままや表面を研磨した程度の物が永い間取引されていました。主にヨーロッパ諸国、特に上記の地域を中心にダイヤモンドの取引が行われてきました。

 インドのダイヤモンドが枯渇をする頃には18世紀初頭のブラジルでダイヤモンドが発見をされ、19世紀には南アフリカでダイヤモンドが発見される頃には現代のダイヤモンドビジネスへとどんどん変貌を遂げていく訳です。

 多くの人々がダイヤモンドの中心はベルギーなりニューヨークだという認識がある訳ですが、むろんそれも事実ですが、現代の様子は少し違っています。

 最近の統計ですと取扱金額の一番多いのはイスラエル、そして取引量としてはインドが一番多い訳です。これらの国はダイヤモンドに元々縁のある国ですから理解が出来ると思いますが、はたして現代のトレンドとしてはどうなのか。

 最近の高値傾向にも現れていますが、1CTあたりの金額の高騰が続いています。それでは1CTあたりの金額の取引が一番高いところはどこかというと実はスイスなんです。勿論オークションの台頭が大きいのですが。

 つまり、ダイヤモンドの中心となっている場所の傾向が変わってきている訳です。これは今後のダイヤモンドビジネスの形が変わっていく事の前兆であり、今まで何気にダイヤモンドの中心地はどこそこといっていた事とは違ってくるのだと思います。

 つまり世界標準であるダイヤモンドは経済状況により、中心地がどんどん変わっていくのではないかと思います。世界第二のダイヤモンド消費国であった日本があったからこそ、日本は都市鉱山といわれるほどのダイヤモンドを輸出が行われていたり、ダイヤモンドに全くと縁のなかった中国がダイヤモンドの消費中心国になったりと以前とは全く異なった状況になってきている訳です。

 数十年前には日本はほとんどダイヤモンドに縁がなかった訳で、高度成長とともに世界第二位のダイヤモンド消費国になり、そして今は一部ではありますが投資対象のダイヤモンドに目が移りつつあり、ブライダル市場は縮小に向かっています。

 投資対象になるとやはり海外、特にスイスや香港から購入する事になるだろうし、勿論現代はネットもあるので益々形は変わっていくでしょう。

 生産地や研磨地が大きく変わる事はないでしょうがダイヤモンド取引の中心は間違いなく様変わりする事でしょう。

2013年12月16日月曜日

ダイヤモンドの値上がり!?

 最近は香港やヨーロッパでのオークションでの大粒やファンシ―カラーのダイヤモンドの価格が天井知らずのように高騰している話題が多い中で、食料品で言えば卵のような存在だったメレーサイズのダイヤモンドの値上がりが目を見張ります。

 勿論日本円での価格に関しては3,40年ほど前から価格があまり変わらなかったと言っても為替が360円から現在の100円に至る事を考えれば3倍以上になっている事にはなるのでしょう。しかし、その中でも品質の幅広さもあり、また供給量の多さもあってさほどの値上がり感もなく推移してきました。

 その優等生の値上がりまで来たかという感じではありますが、事情もあります。リーマンショック以降地金の値上がりもあり、ジュエリーのリサイクルやダイヤモンドの買取屋も増え、市場からダイヤモンドが逆流をし、一時は日本の事を都市鉱山とまで言われるほど海外の特にインドの業者がメレーサイズのダイヤモンドを買いあさりました。

 古くからインドではメレーサイズのダイヤモンドは子供たちを使い安い労働賃金で研磨されてきました。しかし、日本での買取ブームが起きると、子供達に研磨させているより、さらに安く、時間的にも手間が掛からなくなり、インド国内での研磨を縮小してきた事実もあります。その間に国連での児童憲章が厳しくなり、児童に労働をさせる事はとんでもないという事になった訳です。

 結果的には日本での買取ブームも下火になり始め、ダイヤモンドの逆流もなりをひそめ始めると、ダイヤモンドの品不足がおき始めたのです。景気の状況もあり、需要が伸びてはいなかった事が幸いしてきたのかそれほどは目立たなかったのも事実です。

 ダイヤモンド値上がりに関してはアベノミクス効果はさほどの影響はないのですが、やはり国内的に需要が高まり始めると、その値上がりにの影響が出ない訳ではありません。海外でのダイヤモンドの値上がりに関しては、資金の行き先がなくなった影響が出ているだけだと思いますが、お金があるからといって買える訳ではないダイヤモンドは今後もしばらく続くでしょう。

2013年12月10日火曜日

内胞物!?

 ダイヤモンドの内胞物に関してはマイナスのイメージを持っている人たちが多いようですが、何故でしょうか?

 小生から見ると品質という評価基準で考える事自体が間違いでは無いけれど、横道のそれた基準だと考えます。なぜなら、以前にも述べたのですが宝石の条件には品質の良悪しは入っていないのですから。再度となりますが宝石の条件は希少性、美観性、耐久性、携帯性そして換金性です。

 強いて言うなら条件である美観を備えているかどうかがあれば十分な訳で、実際には内胞物は自然を表現してくれたり、歴史を教えてくれたり、何よりも条件のひとつである希少性の証しである存在だという事です。ダイヤモンドは天然である事が絶対条件な訳ですから、その証である存在がマイナスのイメージになる事はひとえに取扱者の知識の不足で、間違いではないけれど事実の一面に過ぎない訳です。

 品質を美観の条件としているところがありますが、これは間違いではありませんが宝石という事を考えると正しいということにもなりません。つまり、希少性という条件との頃合いがあるという事です。

 ファンシーレッドのダイヤモンドは品質が悪くても希少性という条件を重要視されますので、決して安く手に入る事はありません。それと同じように内胞物も考える部分があっても良い訳です。

 最近取り扱った3ctほどのダイヤモンドはI-1というクラリティーでしたが、真中にハートの形をした内胞物があり、それを見たお客様がどうしても欲しいから2,3日後に返事をさせてほしいという事だったのですがご返事が1日遅れた為に他の方の手元に渡った事がありました。どうしても欲しいから同じような物を探してほしいとの事でしたが、それは99%無理な話である事は誰にでも解ります。

 その人によって希少性の捉え方は違うかもしれませんが、永年ダイヤモンドを見てきた立場で言える事はDカラーのIFなどは何度も見てきていますが、他の宝石が内包されていたり、特殊な形をしてる内胞物が存在したものに関しては遭遇をする事は稀です。

 いつも言う事ですが、美観を損ねないことを前提にして考えた場合内胞物こそ希少性という条件を満たす存在である事も少しでも理解をして頂きたいと考えます。勿論、何のイメージの出来ない内胞物というのも存在はしていますが・・。

 ダイヤモンドのクラリティー(清澄)はクオリティー(品質)ではないという事も思い返して欲しいと考える訳です。

 美観という条件評価の一部として4Cグレーディングが存在している事は目安として便利です。しかし、それはダイヤモンドという宝石の絶対的評価基準ではないという事は広く市場に広がればもっと販路も開け、ダイヤモンドの価値も上がってくると考える訳です。

2013年12月6日金曜日

真偽!?

 ここのところの誤表示、偽表示については以前にも述べましたが、先週のとある展示会にて、お客様からものすごく安くリサイクル屋さんからダイヤモンドを手に入れたとのお話しがあり、聞くと輸入価格よりも安い金額で手に入れたという事で
 『社長、見てみてください。鑑定書も付いているし、綺麗でしょ!!』

 一寸肉眼では違和感を感じたので
 『きれいな石ですね。ルーペでのぞかしてもらってよいですか?』

 どうぞ、どうぞという事でルーペを使用して見てみると、やはり違和感を感じる気がして、グレーディングレポートの内容を少し聞いてみるとIカラーでVS-2カットはエクセレントという内容でした。

 少なくてもVS-2の内容ではない。もう少し上の内容でカットに関してもエクセレントの内容には首を傾げる要件が見えるという状況で、環境的にも断言をする事も出来ないしお客様には
 『良い石ですね』とは告げましたがそれ以上の事は発言をしませんでした。

 内容や状況的にそれを告げる環境ではないと判断をしました。一つにはケチを付けている様に感じられたり、その価格に対してやっかんでいる様に思われても良い事はないと判断をしたからです。

 後に展示会の担当者にはその内容を告げ、後日問題になった時にその場での問題を記憶していてもらう為でした。内容的な事をお客様に告げるべきかどうか、その上で鑑定をして問題なければそれで良いのですが、その事自体が別の問題をおこす可能性があるので躊躇したことも告げました。

 このような問題は過去にもあり、買取屋さんはプロではないので万が一を考え、安く買い取るという事になり、またダイヤモンドテスターを使ったとしても必ずしも正確な判断をするとは限らないのでリサイクルショップが必ずしも悪意を持って何かをやっているとも限らないのです。

 つまり、リサイクル市場を批判するつもりも、否定するつもりもありません。ただ、一方で被害を受けるのは消費者です。善意の第3者という事で片づけるには少し度を越しているかもしれません。
それゆえにシステムとチェック機構をきちっとして、確かな業界になってほしいという事なのです。

 宝石や感性の物に関しては扱う人間の知識と経験そして良識が絶対条件となる訳ですが、その感覚が薄すぎたという事のなるのかもしれません。自らがそれを律する事が出来なければやがては淘汰されていく事になるのでしょう。

 真偽という物は必ずしも誰かの意図によって行われるとは限りません。ある程度の人間に都合が良いからそのままにしておこうという背景もあります。ダイヤモンドに関しては偽物はありません。その価値に関しても嘘はありません。ただ、それを述べる時にその扱い者のレベルが反映されてしまうのです。