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2013年7月29日月曜日

幸運のダイヤモンド!?

 先週,、今回私が買付をしてきたダイヤモンドの内見会を兼ねてフレンチレストランでランチパーティーが行われましたが、シャンパンに美味しい料理と大変にご好評をいただいたようです。

 シャンパンを飲みほしながらあるご婦人が
『髙木さん、以前頂いたマーキースのダイヤモンドのペアになるようなものが欲しんだけれど・・・。』
と・・・。

 以前お求め頂いたマーキース型のダイヤモンドはほっそりとした普通のものよりは細身のもので、普段買付をしていてもめったに見る事がありません。

 『勿論、簡単に見つからないのは解っていますけどね。ぜひ欲しいので半年でも一年でも待ちますわ。』

 『それはお約束できませんね。すぐにあるかもしれんせんが、一年になるのか十年になるのかは…。』

 『やはりそうなのかしらね。私がこれを手に入れたのはついていたんですね』

 『その通りです。』

 『このダイヤモンドは私に出会う為に数億年かけて地球が作ってくれたものといつも髙木さんが言っているものね。』

 『正確には、ダイヤモンドの方が先ですから。このダイヤモンドを身に付ける為に貴女が生まれてきたんですよ。』

 『そんなものが沢山あるわけないですよね・・。』

 『幸運とは心のあり様』ですからダイヤモンドはその一助になるものと考えていますが、結果的には後から出てくる人類の幸福感を満たす為にダイヤモンドは創造されていたと考えようもありますね。

 その為に変化する人の心の幸福感を満たすものはその都度違いますが、ダイヤモンドに関しては不変のものですから、いつの時代でもどの様な時でも一定の幸福感を与えてくれる大事なものであるがゆえに簡単には手に入るものではないのでしょう。

 『確かにダイヤモンドを見ていると幸せな気持ちになるし、手に入れたいという気持ちが物を手に入れたいという気持ちとは少し違うような気がしますね。』
 と既に手に入れている片側に付けたピアスを鏡越しに眺めながら満足そうな顔をしていた事が妙に印象に残る会でした。

2013年7月22日月曜日

ダイヤモンドの3拍子!?

 先週イスラエルから帰国し、土曜日には昨年亡くなった友人の散骨をしに海に出てありし日の思い出に浸っていました。
 
 亡くなった彼女は私よりも若く、まだ50代も半ば前で若い頃は日本中が話題騒然となった某車メーカーのCMでヒロインを務めていました。

 勿論美貌もでありますが、性格も良く、育ちの良さが全面出ているような女性でした。今で考えると少し飲み過ぎのきらいはありましたがダイヤモンドのような女性でした。

 ダイヤモンドは家柄(重量、質)と育ち(研磨)と容姿(プロポーション)と三つが揃う事が基本です。さらに学歴という事は後付けのグレードみたいなもので人間関係の中ではあまり多くの意味をなしません。

 多くの人間の人間格みたいなものにダイヤモンドは当てはまっているような気がします。勿論全てが揃う事は稀有なのでしょうが、性格が良い事が一番だという方もいるでしょうし、イヤ、やはりまずは容姿でしょうという方もいます。

 ダイヤモンドも同じようなもので、全てが揃う事はやはり稀有な事で、勿論お金があってさらには縁があれば全てが揃ったものを手に入れる事が出来るかもしれないけれど、そんなに簡単ではありません。

 ダイヤモンドの3拍子は必ずしもグレードなどと一致はしないかもしれないけれど、それはGIAのファセットウエアーなどでも立証されております。グレードなどに惑わされず、自分の志向で選ぶ事が大事だという事を考えます。

 亡くなった彼女を思い出すと3拍子の揃った良い女性であった事と本当に残念な思いがこみ上げて来ます。ダイヤモンドと彼女の唯一の違いはダイヤモンドの場合は永遠だという事です。

2013年7月15日月曜日

買付の難しさ!?

 買い付け2日目になりますが、今回の目的であるファンシーシェイプの少なさにはあきれ果てました。ファンシーでもラジアントやクッションカットのような原石から歩留まりの良いものやエメラルドカットのように原石から比較的とりやすい四角系のものは多くみられましたが、ハート、ペアシェイプ、マーキースといった比較的原石が特定されてしまうのもに関しては特に少なく、さらに自分のテーストに合うようなモデル(形)やカットがしっかりしているものとなると驚くほど少ない。

 特に大量のロットから自分好みのものを探そうと思うと価格的にも高くなり、日本のマーケットに合わせようと思うとかなり難しいのが現状です。

 意識をして形を優先すると石目が中途半端になり、さらに難しくなります。もちろん。ファンシーシェイプに関しては見た目が優先になりますのである程度石目を無視するしかありません。

 そのうえでライフ(テリ)の強いものとなるとどう考えても大きなマーケットには向きませんのでニッチな市場と割り切って買い付けをするしかありません。買い付けをしていて改めて希少性のマーケットに首を突っ込んだものだなあ~とちょっと首をかしげています。

 消費者の皆さんはそこに揃ったものを見ますのでそれがいかに希少性が高いかを理解してほしいといってもそれはこちらの言い分で理解をしてもらう努力も相当に必要だと感じています。

 今後もっと理論やグレードではなく現実の希少性を市場に理解をしてもらえるように努力をしつつ仲間内にももっとダイヤモンドの現実を解くように働きかけていかなければとブルサ(取引所)に座りながら考えてしまう時を過ごしています。

2013年7月13日土曜日

旅の途中で・・。

 今、イスラエルへのトランスファーの為に6時間もの暇を持て余しながらも今度の買い付けのことが頭をよぎっています。確かに大粒のダイヤが動いているといってもそう簡単に手に入るものではありません。

 通常はファンシーカットを中心に組み立てるのですが、今回は帰国後にそのお披露目のための内見会をフレンチレストランで予定をしていますのでチョイと大粒も頭に入れておかなければなりません。
 ダイヤモンドについてはいろいろと見解の相違がある部分もありますが、見た目のライフ(テリ)と大きさは世界共通です。グレードはあくまでも価格の比較を説明するための道具ですから、ファンシーカットのように形の好みがあるものに関してはあまり用をなしません。
 
 
 このような表現ですら業者間では説明を必要としますが、消費者の場合は素直に受け取ってくれます。グレードの誤解は販路や売れ行きの手助けになったことは否めませんが現状ではかえって障害になります。
 などと徒然なるままに考えながら、今度の買付と内見会でのスピーチ内容を組み立てていますが買付経験のある方には解って頂けると思いますがラウンドはファンシーカットほどの神経は使わないのですが、ファンシーカットは自らの好みや消費者が好みそうなものを見つけることは容易ではありません。
 自分が気に入っても消費者が好まなければアウトですし、ましてや形は千差万別です。つまり、テリと重さは選べますが形は経験の中から80%の消費者が好むであろうと思われるものを探すしかありません。今回は期間も短いので多少の不安もありますが全力を挙げるのみです。
 買い付けの途中でまた報告を書こうと思っています。

2013年7月4日木曜日

インドと中国の影!?

 先日、香港のショーを訪れた事は有意義な事ではあったのですが、その結果と言ってはなんですが、近い将来を予想する事の出来る材料にも遭遇をした訳です。それは、必ずしも良い兆候とは言えませんでした。

 大方の印象通り、今回の展示会で良い結果を残せたところはわずかで、大方の出展者は必ずしも期待をした結果ではないようでした。

 ここ数週間のダイヤモンドの動きに関しても0.3~1%程の値が下がり始めた兆候が見えます。と言っても大半は1~2ct以下の中型から小型のサイズの物の話ですが、これらのサイズは以前から経済の動きには敏感で驚くような事ではありません。

 これらの多くの要因はインドと中国の不調が響いている事は否めません。ルピーの値下がりや中国国内の需要の低迷が主な原因ともとらえられますが、インドに関しては経済政策や外交政策を見ていると焦りも感じられるという事とかつてのカースト制度ほどではないにしろ依然と残る名残と近代化のバランスが悪くそこにIT産業と近代経済の波(バブル金融)がそれに拍車をかけている。

 また中国に置いても内政問題をないがしろにし、覇権主義を前面に出す現在の政府とバブル経済を利用し、国内では持てない資産を海外に所有し、海外への移動を考えてきた人々の時代が終盤を迎えてきたような気がします。

 日本でのバブルもほぼ十年続き、中国でのバブルもそろそろ十年を迎えようとしています。またインドに関してもルピーの下落に見るように終盤を迎えようとしている。

 勿論現代では他国との境が少なく日本ほどのダメージを受けるとは考えにくいとは思います。しかし、人口の多さの規模は無視をする事は出来ません。ダイヤモンドの今後を占う意味では良い兆候とは言えません。

 かつての日本がそうだったように今後は両国でも流通在庫をはく為にディスカウント合戦で急場をしのぐことになるでしょう。そうすれば過去に日本市場が世界各国へ迷惑をかけたような値下げ競争がはじまり結果ダイヤモンドの価格下落という場面が出てくるかもしれません。

 しかし、これはあくまで流通在庫の問題であり、原石が大きな値下がりをする事を示している訳ではなく、あくまでも一時的なマーケットでの価格動向である事は間違いがありません。

 長期的にはダイヤモンドの価格は右肩上がりであり、過去の日本のバブル当時と違い今はデビアス一社が大きな影響力を持っている訳ではありません。市場が価格を決めているからこそのデメリットとメリットが共在し、大きなサイズに関しては逆の動向を見せる事が十分に考えられます。

 しかし当分は弱含みの展開になる事は間違いがないでしょう。

2013年7月3日水曜日

価値の中のダイヤモンド!?

 宝石の条件としての五つ(美観、希少、耐久、携帯、換金性)は宝石のみならず価値そのものを表わしています。消費者が対価を払う価値というものはこれらの条件のいずれかを満たしているのです。

 しかし、実際には消費者は物やサービスに価値を見出してくれるのかというと、必ずしもそうではありません。消費者にとっての価値というものは人それぞれで、必ずしも一致はしていません。物が良いかどうかではなく、自分の欲求を満たしてくれるかどうか?そして、その欲求は・・・?

 つまり、提供側がどんなに良いと思っているサービスをしていようとそれが望まれているかどうかは別です。物がどんなに良くても必要がどうかという事でもあります。

 確かに、ホテル等はサービスを売っているようにも見えますが実はそうではなく、利用客が望んでいる物がそこにあるからです。例えば、そこに出入りしている自身に対する満足感とか・・。

 人それぞれの欲求と満足感は其々の環境や時代によっても変わってくるということにもなります。
それはおなかの痛い人にどんなおいしい物が用意されてもその人に必要なものはまずい薬と硬くても良いからベットなのです。

 多くの書籍に『如何にして売るか」とか『売る販売員はこうだ!!』などの類いの物が出版されていますが『宝石はこうすれば売れる』といったものは決してありません。それは非常に特殊なものと思われているのと生半可な方法論つまりサービスや物で売るものではないからです。

 ここで言いたい事は普段から消費者が必要性を感じる様になる啓蒙活動が行われているかどうかが大きな問題です。消費者がこれは必要だと思えるような判断材料の提供があって購買行動に移る訳です。それはあくまでも前述の条件に沿ったものでなくてはいけませんが・・。

 以前、シンジケートのキャンペーンで婚約指輪はダイヤモンド、その価格は給料三カ月分といった物が広く行き渡っていましたが。その節には婚約はダイヤモンドを買えるようになってからなどの比喩もあった位です。しかし、昨今、結納や式も上げないといった時代背景になってくると状況は変わりダイヤモンドにそれほどの意味が持たれなくなってきました。

 それは安売りやグレードの不誠実な表記なども原因に有った事は事も否めませんが、それ以上に宝石の本質的な価値、つまり前述した条件でもある価値というものを理解して頂いていたかという事になります。

 ダイヤモンドは価値の中では究極ともいえる不変の価値な訳で実用的に結果の出るものではありませんが価値ともいえる条件を全て満たしている訳です。実質的にも現在は高額なものに関しては財テクといった結果も出ています。

 消費者の価値観を1から作り上げる事は出来ませんが、その材料を提供しうる事が購買にうながって行くのかなと考えています。

2013年7月1日月曜日

価値を売る!?

 宝石の価値というものをどう捉えるか?

 多くの宝石販売員が直面し、悩んでいることではあると思いますが、現況での販売方法について真偽と言いますか、どの販売方法があたっているのかという事が一つあります。

 過去にもシトリンがトパーズと呼ばれて販売していた物が、ある日突然にそれは間違いで本来のトパーズとシトリンは違うものですという事になったりと、その都度の業界の都合に合わせて販売をしていた為に、本来の価値とは異なるインフォメーションを消費者に届けていたりしてきました。

 その上で明確ではなかった為に誤ったイメージを消費者に与え、消費者の疑念を生んできた事も事実です。以前のように物がなく景気の良い時であればどの様な方法で販売してもある程度の許容は出来たのかもしれませんが、現況に置いては致命的な事になりかねません。

 ダイヤモンドの4Cにしても絶対的なものであるような印象を与えていた為に失われた物も随分あります。時と場所と人によってグレードに差異がある事を明確にしておけば問題のなかった鑑定会社のグレード問題はその典型です。

 現代においても私が懸念しているのは真珠の「花珠」(華珠といったりもするらしい)であります。
本来の花珠はとは真珠の入札会の折に基準になるとっぴんで手を加えていない浜揚げ珠のものという事になっていたのですが、現代に置いては加工済みの手の加わった品質ではなく巻厚や色の種類等で其々の鑑別会社の独自基準で決めている物が多い、確かに品質の良い物が多いのかもしれないが消費者に誤解を与えるような拡大解釈は以前のダイヤモンドのグレード問題と同じ事が内在している。

 花珠鑑定がついていない某真珠ブランドのMの方がよっぽど品質が良い物もあります。ダイヤモンドと同じ様に、物ではなくグレードの文字で販売していると大きなもな題になる事を指摘しておきます。

 それでは本来の間違いのない価値とは何なのかといえば宝石の条件そのものです。希少性、美観性、耐久性、携帯性、換金性といった当り前の事を価値として説明(これに関してはちゃんと勉強しなければなりませんが)した上での付帯事項としてグレードやデザインを説明する事は否定をしませんが、小さくても品質の良い物とか、お似合いですよとか、お買い得ですよ等の意味不明な説明の仕方は当然、冒頭の販売員の悩みに繋がってくるのだと思います。

 つまり、前述した花珠やグレードについては付帯事項であって価値ではないという事です。それを主に説明をしていたら当然、矛盾も出て来ますし、問題も内在し、信用の出来ない業界にもなります。宝石の不変の価値が説明されずに変化の激しい付帯事項を中心に説明に販売をしてきた事は、その都度の折には楽な販売をさせてもらいましたが、それは問題を拡散させていた事に他なりません。

 半貴石や雑石に置いては条件や環境が変われば価値も変わる事は頭に入れておかなければなりませんし、目先の事をセールスポイントにする事は宝石に置いては不誠実である事を販売する側は頭に入れておかなければならないのでしょう。本質的価値を販売する事が消費者に対する誠意であり、販売側の理屈を通す事は消費者側の疑念を増すだけの事だけと考えます。