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2013年2月1日金曜日

ダイヤモンド・グレードの矛盾。

 最近、お客様から

『どこの鑑定機関が信用できますか?』

という質問をいただきましたが・・・・・。

『組織としてですか?それともグレードディングレベルですか?』

と、質問をかわすようにお答えしました。

 勿論お客様はそこまでの内容ではなく漠然とグレードの内容が信用できるところという事なのは解っているのですが。何故かかわしてしまいました。

 グレードというのは本来、熟練した鑑定士が10倍のルーペで確認をするという事が前提となっていますが昨今では効率を上げる為に20倍の顕微鏡を使用しているところもあるようです。

 倍率を上げると見えていなかった内胞物も見えるようになるでしょうし、実際にダイヤモンド全体に対するシェアも大きく感じるはずです。

 40年ほど前に2ctのフローレス(無疵)が当時所属をしていた会社が販売をした時に消費者の方から
『無疵だと言うから買ったのに瑕があるじゃないか!!』

と怒り心頭で抗議があり、その内容をよく聞いてみると顕微鏡で100倍率で確認をしたということでした。勿論、10倍基準のお話しをして御納得を頂いたのですが、基準を動かすという事は重要な事で効率を上げるためとはいえ倍率をあげてグレーディングをする事は疑問に思います。

 また、内胞物の位置大きさによっても個人的見解もある事は前回も述べた通りです。勿論、機関によっては複数人での確認をしてはいますが。

 しかし、後での責任の問題を考え、あえて厳しくするところもあり、ビジネスの為に多少の融通をきかすところもありという事もありますので、どちらも可ということではないと思います。

 グレードに関してもグレーディングをした裸石状態のものであり、その後枠づけをした段階では既に責任を持てないのは当然です。石留めの際に小さな瑕がつくことは十分に考えられます。その事は表記しているレポートとしていないものもあります。

 グレーディング・レポートに 《時と、場所と、人によっては多少見解に差があります》 と表記をしておけば何の問題もない事なのですが・・・。業者によってはそんな事をしたら市場に混乱を招くとか鑑定機関の信用に問題が出るとかいう人がいますが、多くの場合はその表記がない為の問題が起きているのです。

 勿論、クラリティー(清澄度)の問題だけではなくカラーの問題にしても同様な事が言えます。
つまり、きっちりとした基準を作る事は難しい問題で、ある種許容範囲があって当り前の目安である事を前提にしているのですが、ある部分の人々の利害に及ぶ事もあり、この辺にはあまり触れたがりません。

 多くの場合その精度を上げるように努力をしているのも事実ですが、裏を返せばその努力をしなければいけない程度のものなのです。その結果ダイヤモンド品質が変わる訳ではありませんが。

 例を上げれば、野鳥の会の渡り鳥の数の確認のようなもので、視認で大体の数を確認をしているだけで、それがあっているのかどうかはそれ程大きな問題ではありません。その結果実数が変わる訳ではないのですから。

 つまり、最初の質問に対してはこれらの事を説明するのは少しためらったからなのです。最近、フローレスは絶対に出さないと豪語している鑑定機関もあると聞いています。その事はナンセンスでこのような基準の中で行っていますと公表し、堂々とグレードの見解を出せばよい事です。

 ただ人間ですから目には衰えがありますので定期的にグレーダ―のチェックをする事は必要でしょう。

 いずれにしてもグレードというのは大体の目安であり、きっちりしたものであるがごとくプロモーションを行うので矛盾も起きます。まして、それにより価格競争を行うから余計に勘違いをさせるのです。

矛盾は常に人間が作り出すのです。原点に帰れば矛盾はないのです。

 
 

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