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2013年2月8日金曜日

ダイヤモンドのセレクション。

 日本に住んでいるユダヤ人仲間からハートシェイプの2ctのものを勧められたので見せてもらう事になりました。彼の事務所に顔を出すとにこやかなビジネススマイルで迎えられました。

 挨拶は終わり、おもむろに金庫の中からパーセル(薬紙みたいなもの)を取り出すと私の前に差し出しました。パーセルを開いて首をかしげている私に

 『そんな素晴らしい石に何の不満がありますか?』

 形としては悪くはなかったのですが、自分が思うテリ(Life)が少しではありますがたりなく感じたのです。

 『うん、形は悪くはないけどライフが少し足りないね。』

 彼は肩をすくめて

 『それじゃあ、しょうがありません。KAZさんは厳しいね』

 この仕事を始めて40年ほどになりますが最初の頃というのは選ばれたダイヤモンドが多く日本に入っていたので良い石しか見る機会がありませんでした。勿論勤めていた会社がダイヤモンドに特化をしていた会社でしたので・・。

 多い時には1ヶ月に1CTのダイヤモンドで1000個前後買付をしていたので一日のソーティングの数量は1万個にも及ぶ事がありました。勿論、一つ一つをじっくり通していたら見る事は出来ませんので裸眼でのチェックが最初の段階です。これは常々言っているライフを確認するのには都合が良く、時には数百個入ったロットのパーセルをチェックする時には、ひときわ輝いている石を選別します。

 意外なのはルーペを通すとこのライフをチェックしにくいという事です。消費者も最終的には裸眼で見ているわけで、裸眼でチェックが最初の段階という事です。

 次の段階にはその裸眼でセレクトされた物をルーペでチェックをしていく訳ですが、この段階では内胞物のチェックをし、さらに対称性をチェックしますがその際にはクラックなどの小さいかけやブレミッシュ(外瑕)のチェックを、特にガードル、ファセットの重なり合うところなどのを中心にチェックをします。

 ファンシーシェイプに関してはさらに、好みの形というのがありますので80%以上の人が好む形を前提にして選びます。そして最後に価格ですが多くの場合以上のチェックで最良のものを選ぶとどうしても価格が跳ね上がってきます。しかし、売る側もそこを重要視せずにプライスチャートに拘るだけの売り手もいますので、そこが買い目という事になります。

 大雑把に言いますと以上のようなセレクションを行う訳ですが全てをクリアして手に入るものは検品をしたダイヤモンドの総数の大体2~3%位です。多くのバイヤーは時間短縮のために買付事務所で手配をしてセレクションをしているのもや既にグレーディングがとれている物をチェックするだけの人が多いのですが、それだと本来の良い物の見逃しが起きますし、新たな眼のエクササイズにはなりません。

 私は基本的なソーティング方法をとりますので、グレーディングをされているダイヤモンドを見ることはほとんどありません。消費者にも好みがありますので画一的なセレクションだけを行う事は本来のダイヤモンドビジネスの可能性を閉ざしている事になるのです。

 検品をしたダイヤモンドの買える可能性のある物は5%前後で、さらに交渉でマザール(交渉成立のヘブライ語)されるのは2~3%くらいという事になります。その中で皆さんが気に入るものは数個という事になりますから希少性が眼に見えるより高い事がお解りいただけますでしょうか?

 ダイヤモンドを沢山の中から光るものを選びましょう。(反射ではありませんよ)

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