最近のお話だけではないのですが引き合いがあり、お取引先にお送りしても結果的に『お客様が来なかったのですみません』という理由で商品が返却をされることが多くなてきました。
何故にこのようなが起きるかというと結論から言うと『客なり』の接客をしているという事になります。勿論、急病なり急用なりという事もあるでしょう。しかし、このような例がこれほど多いという事はやはりお客様と話を詰める前に商品手配をして客待ちをしていようという事なのでしょう。
現状の宝飾業界においては多くの場合大粒や特殊な宝石に関してはそれほど国内在庫が有りませんから業者間で品物を回す事となります。さらに言えばその送料も保険料を含めると馬鹿になりません。それ故に安易な引き合いは迷惑でしかありません。
ただ現状の末端を考えるとほとんどの場合販売員に経験や知識が乏しく、仮にお客様が来店をしたとしても決めきるだけの度量に関しては難しく、実際には展示会等でも卸屋さん販売員が決めることが多く祭事以外においても卸屋がダイレクトで消費者に接して決める場合も多くなっています。
以上のことを考えると流通のシステム自体を変えざるを得ないと感じるのです。何故なら希少石に関しては圧倒的にお客様より商品の方が足りないわけですから、お客様に商品の都合に合わせてもらわなければなりません。それは以前の宝石業界では当たり前のことでしたが、ここ数十年の間に状況も変わり宝飾品もかなりアクセサリー化し販売形態も変わってきたのでやむを得ないのかもしれません。
現状においてはこの時代の変化を見直し、本来の宝飾品の販売方法に立ち帰らなければならないのでしょう。過去にも色々と時代の変化によるこの業界の変貌を見てきましたが、今ほど変わらなければならないと感じることはありません。
宝飾品は何時の時代にも顧客より少ない状況にあります、それ故に販売員の顧客へのアプローチが変わらない限り、市場の復活はあり得ません。『何時でも何処でも誰でも手に入る宝飾品』は既に宝飾品としての価値を失っています。
時代の変わり目であることには変わりありませんが、どう変わるかというと宝飾品に関してはITなどが絡む要所は極めて少なく販売員なり、販社なりの原点回避が何よりも効果的なのだと考えています。