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2020年11月21日土曜日

ダイアモンドと金融⁉

  世界の金融は実体経済とはかけ離れた動きをしている昨今ですが、このままで良いのだろうかと考える事がしばしばある市場です。

 一部のIT関連の相場が日米問わず引っ張っており、実際の日本の日経相場においても70%以上の企業が赤字であり、わずか20%余りの新進の企業がその相場を引っ張り、高値相場を維持しています。つまり、格差です。

 米国においてもITやベンチャー企業が中心のNASDAQが史上最高値をダウとともに更新をしており、株保有者においてはトランプ政権になったおかげで経済的にも上向いたという人々も多くいます。

 またその陰では利益確定買いとも思われる金市場がこれまた今夏においては最高水準の相場を付けています。しかし、新型コロナ禍におけるワクチンの開発の先が見えるようになるとこれまた株相場が続伸をし、金市場から微妙にお金が逃げ始め、株に新たな資金が流入をしているようにも見えます。

 一方ダイアモンド市場にも変化が起き、この春先からブライダル市場が顕著に動き始め、日本においてもアメリカにおいてもここ数年では見ないような動きが起きています。それは《9.11》や日本の東日本大震災後も起きた事ですが、情緒的な要因が多く不安や不安定さからより強い絆を求めようとするカップルが増えるという事でしょう。

 特に金融市場良好な中、若くても株保有者の多いアメリカでは1ct~1.5ctsの需要が増え、価格的にも本来であれば実体経済下において下降をしがちな状況の中、安定どころか上昇に転じています。これらはブライダル市場の状況ではありますが大粒ダイアモンド市場においても変化が出ています。

 新型コロナ禍でオークション市場を始め、あまり動いてはいないはずのマーケットでファンシーカラーや大粒サイズのダイアモンドが価格を更新しています。特に不況の中で価格のが下落しやすい、Dカラーでハイクラリティーのところの価格が上昇を始めています。

 これはサザビーズやクリスティーズなどのメジャーなオークション会社だけではなくマイナーな国内のオークション会社においても起きている現象です。ここ数カ月の間でも何件かの査定依頼が来ており、入札価格においても査定額を超える価格が入る傾向がみられます。

 富裕層の情緒的な要素もあるのかもしれませんが、前述の利益確定買いを始め、財産の保全といった面も見られるような気がします。つまり、現状の金融市場とダイモンドのマーケットは必ずしも離反をしていないという事になります。逆に実態市場においての方がネガティブな要因が多いと言えるのではないでしょうか。

2020年11月11日水曜日

業態変化⁉

 新型コロナの流行が留まるところを知らない状況にあるわけですが、多くのビジネスで業態の変化が望まれる中でどのような変化をするかという事にアイディアが及ばない業種もあります。

 

 宝飾業界がまさにそこにあるわけですが、宝飾業というものは過去をさかのぼると業態を変えながら変化をしてきた業種です。元々は店売りという典型のビジネスのように思われますが実はそうではなく単純に言えば行商であったわけです。

 行商といっても現代人が考えるようなものではなく、多くの業種の場合は行商で行われてきたわけですが、宝石の場合はちょっと特殊で産地と需要地の距離が遠かったという事もあり、最終目的地に着くまでの間においてもそれなりの物を販売して歩いたわけです。

 特に昔のインドからヨーロッパに向けての行商においては中間のベネチアなどで研磨や宝飾品に仕上げヨーロッパの王族や貴族層に販売を行っていました。時代が進み中世に入ると産地とは言わず、今でいうリサイクルが行われ必ずしも裕福ではない貴族等が手放した美しい宝石は転売をされ、そのために店舗が現れ始め、ヨーロッパの各首都には宝石店が点在始めたのです。因みに宝飾品をリサイクルとかリ・ジュエリーという言葉を使う事にはいささかの疑問はあります。

 店舗がやがて外販というより顧客へ訪問し、オーダーメイドを行うようになると店頭と外販という業態が現れ始めます。それから時が経ち展示会が生まれ、TVショッピング、通販という流れになり、そこでは展示会と通販という相容れない販売方法がおこななったわけです。

 つまり、宝石を売る形態や業態は常に変化をしながら来たのですが、バブル以降宝石の本当のプロが少なくなり本来変わっていかなければならなかった業態変化が行われずに来たのです。もっと言うと宝飾業と言って良いかどうか解りませんが現状の形は既に新型コロナが無くても市場規模と内容は劣化をしていたわけです。

 新型コロナ禍の今こそが業態を変化する良い機会ではないかと考えるのです。また変わらなければ千年以上続いたこのビジネスが終わりを告げるのかもしれません。